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『宮大工棟梁西岡常一「口伝」の重み』日経ビジネス文庫

日経ビジネス文庫 2005年4月刊行

『宮大工棟梁西岡常一「口伝」の重み』日経ビジネス文庫 お、この建物は面白い―というのがあると、祖父はすぐそれをスケッチしていた。矢立と帳面をいつも持っていて、サラサラと描く。ある時、堂の絵模様を描いた。それを見て「絵様そのものを描くのでなく、余白が絵様になるように描け」と言われた。全体のバランスを考えよ。ということだったのだろう。しかし、それ以上のことはいわない。祖父の帳面は十冊ぐらいあった。しかし、私にも父にも絶対見せなかった。
 - 体で覚える。優れた仕事を見て、それを盗む。
これが基本だった。
 - 口より先に手。
というのが職人の世界で、理屈であれこれいうのはうまくない。それぞれが、自分で体に仕事をしみこませるしかない。何かを伝えていくのも、そうしたやり方になる。それだけに、
 - 教わる方も、教える方も必死。
ということになる。
 一方で、祖父は褒め方も上手だった。うまく褒めるのも棟梁の腕である。私には言わず。私の母に褒める。本人には決して言わなかった。(第1章 千年先を見通す「口伝」の重み P.30)

 この本は、先日、青森県主催のITビジネスマッチング交流会で名刺交換し、早速訪問した「材 株式会社」の浄法寺社長に教えていただきました。口伝」についてはWikipediaで次のように解説しています。
「祖父常吉は晩年、一人前となった父楢光と常一に西岡家に伝わる口伝を教えた。これは一度しか口移しで教えることができない日中の教えで、一つずつその意味となる要点を教え、十日後に質問して一語一句違わず意味を理解するまで進まなかった。」

 先週「短期間でどんな人材も即戦力にする方法」というセミナーをうけてきました。チェックリストを使い、仕事を平準化することで「知っている」を「できている」にするのが秘訣。そのために「アニー」というツールを使いましょうという内容でした。「口伝」と「仕事の平準化」は矛盾しているようですが、繰り返しやって覚える、やるべきことをチェックリストにして、絶えず更新することにより、安心して仕事ができる環境を作るという本質はつながっているように思えました。先週書いた、孔子の「聞けば忘れる、見れば覚える、行えば理解する」も同様です。業務の効率化と人材育成について大きな気づきを得ました。忘れないうちに「行い」ます。

『デジタル対面営業』ダグ・ディビトリー

ダイレクト出版株式会社

『デジタル対面営業』ダグ・ディビトリー「ウェビナー」という言葉は混乱を招きやすい。数多くの定義があるからだ。最も基本的には、ウェビナーとは「インターネットを通じて情報を提供する電子的な手段」を意味する。(訳注:なお、日本で翌知られる意味は、ウェブ上でセミナーの配信を行うこと)。最先端の意味は、「社会共同作業ツールを使って参加者を引き込む3次元の学習環境の再現」である。
(中略→P660へ)
・スキルの訓練。孔子は「聞けば忘れる。みれば覚える。行えば理解する」と言った。プロフェッショナルな能力を教えるだけでなく。他の人が適用した知識をリアルタイムで示せるようにする。
・コーチング。積極的な姿勢を維持すること、突っ込んだ質問をして非生産的な態度を取り除くこと、チームのメンバーが説明責任を果たすようにすることは、ウェビナー形式で伝えられる。(ウェビナーの活用 P.658)

この本は、電子書籍で買いました。「統計情報によれば、2011年に、私は9カ国の71の都市に旅行し、230日間を車で移動していた。」という書き出しと「スクリーン・トウ・スクリーンでのやりとりのような視覚化された対話は、最新のテクノロジーを使うことで、アイデア、製品、サービス等の販売に一層貢献する」という言葉に惹かれ、読みました。
インターネットを使った最新の営業がテーマですが、顧客を訪問して対面で行う営業手法との違いが分かりやすく記載されてあり、参考になりました。著者程では無いのですが、私の行動は、動きまわるのが主体でした。これからは、Skypeを使って効率的な動きをしたいと考えています。特に遠隔会議を生産的にするベストプラクテスという部分は何度も読み直す必要がありそうです。
紹介されている孔子の言葉もなるほど…でした。ネットで調べてみたら、約二千五百年前にあの有名な老子は「聞いたことは、忘れる。見たことは覚える、やったことは、分かる」と言ったそうです。と書いてありす。どっちが正しいのでしょうか?ここから先は、研究の世界になりそうです…私の役割ではないので、言葉の意味を理解し、Skypeを活用して定刻に始まる会議や研修を定着させることを目指します。

『ザ・チーム 日本の一番大きな問題を解く』斉藤ウイリアム浩幸著

日経BP社刊 2012年10月9日第1刷発行

『ザ・チーム 日本の一番大きな問題を解く』斉藤ウイリアム浩幸著日本にはチームがないという見方に最初に賛成してくれたのは、日本に住む外国人だった。「まさにそうだ」と。
 私がいうチームとは、オリンピックのサッカーなどと同じでもあり、違ってもいる。それは、異質な人間がある目標を実現するために熱意を持って助け合う組織のことだ。ここが見落とされている点なのだが、チームは単なる人の集まりであるグループとは違う。
 詳しい説明は後にするが、チームはイノベーションとアントレプレナーシップの土壌となる。失敗を恐れないでリスクを引き受ける精神は、チームから生まれる。チームの本質はお互いに助け合う。ヘルプしあう関係だ。今の日本には、ヘルプするという精神が欠けているように見える。個人が、あるいは組織が事故の利益を追求することばかりが目立ち、個人と個人、組織と組織が助け合って共通目的のために汗を流すという基盤が乏しい。そして、社会全体にチームという発想が希薄だ。
 日本は個人としては優秀だが、組織全体となると途端に馬鹿になると師匠の黒田清さん(元日本学術会議会長、国会の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会委員長)もいっている。同感だ。(チームをつくり、まずヘルプから P.6)

この本は、何年だったか忘れてしまったのですが、日本M&A国際会議で著者の講演を聞いたときに買いました。著者は1971年ロサンゼルス生まれの日系二世。16歳でカルフォルニア大学ハーバード校に合格。同大学ロサンゼルス校医学部を卒業。テレビ会議システムで失敗した後、指紋認証など生体認証暗号システムの開発で成功。2004年会社をマイクロソフトに売却日本に拠点を移しています。
 講演の後、並んで名刺交換をお願いしたのですが、私のところで名刺が切れ、もらえませんでした。グループとチームの違いが気になり、書棚をみたら「個人主義化が進む日本、チームで鍛えるアメリカ」という帯が気になり、アンダーラインの部分だけを拾い読みしました。わかりやすいので、再読します。読んでわかったのですが、アンダーラインは簡単に引くべきではないと…いい本は、必ず再読する機会があります。以前読んだ時と、その後では「ここが大事」というのが違うということに気づきました。この本を読むと、本の紹介にあるように「世界レベルの日系人起業家が示す問題解決の極意」がわかります。

「飲食店の集客戦略」高橋憲行著

企画塾出版(2015年4月発行)

「飲食店の集客戦略」高橋憲行著 以前(高度成長期)は、開店すれば来店されて注文が増えるという時代がありました。しかし、現在は同じよなメニューや業態の「供給過多」、「情報過多」によって、「顧客が来店し、注文に至る距離」が長くなっているのが現状です。
 そこでお勧めなのが、CTPTマーケティングです。CTPTマーケティングとは、コンセプト、ターゲット、プロセス、ツールの4つのキーワードの頭文字をとっています。
 コンセプトはお店にサービスやメニューを指します。ターゲットは、既存客や新規客、見込み客を指します。プロセスは、ターゲットにお店委のメニュー・サービスを認知させてから注文をいただくまでの関係づくりの段取りを指します。ツールは、その中で使うツールやイベント、また会話の内容等をさす場合もあります。
 そして、このCTPTマーケティングの最終目標は、1回限りのお火薬様ではなく、何度も来ていただき、新規客を同伴していただけるお店のファンを増やし、永続的な増販増客の仕組みを作ることです。(CTPTマーケティングとは P4)

 先週、企画塾の月例会でweb軍師を使い、関与先を指導してきた事例を発表させていただきました。
4年前、当社の社員が企画塾(MP講座)で学んだことを実践し、あるお店を指導して、見事に黒字化できました。CTPTは儲けの仕組み(ビジネスモデル)です。今回は、社員の頑張りで、お客様に喜んでいただけましたが、今後も黒字を続けていくためには、ビジネスモデルを業務のシステムとして習慣にすることが必要です。料金をいただいて、web軍師でモニタリングを続け、PDCAを習慣化し、業務システムにすることは可能ですが、現場で実行するのはお店の従業員です。平均年齢が上がり、モチベーションが下がったら赤字に戻ってしまいます。今回はその可能性のある事例でした。
Web軍師のベースになっている、バランス・スコアカードには短期の戦略と長期の戦略のバランスをとるという役割があります。CTPTを仕組みとして定着させるとともに、長期的な「継続」という視点で人材育成と組織づくりの提案を進める必要があることに気づきました。
この本には、極め付けの15の成功事例が載っています。管理会計で意思決定支援中心の業務から、マーケティングの領域へ一歩踏み出してみませんか。