今日の1ページ

最高の結果を出すKPIマネジメント 河合 雅司 著

フォレスト出版株式会社 2018年7月2日初版発行

(P6 そろそろ「なんちゃってKPI」から脱却しませんか?)
 KPIマネジメントとは、次の3点を関係者で共有・実行・改善し続けることです。
➀現在の事業にとっての最重要プロセスを明確にし(=CSF)
➁それをどの程度実行すると(=KPI)
➂事業計画が達成できるのか(=KGI)

本書では、単に数値を見ながら事業を運営する「なんちゃってKPI」とは一線を隔す。徹底した現場主義の使えるKPIマネジメント手法を共有したいと考えています。
この本は、こうした私のリクルート時代の「メディアの学校」講師としての11年間の講座の内容がベースになっています。
毎回、講座の冒頭で、受講者が講座終了後、以下のような感想をもってもらえれば、今回の講座は成功だと伝えていました。

「KPIに興味を持てた」
「自組織のKPIを(知らない人は)確認してみよう」
「自組織のKPIを(知っているけど使っていない人は)活用してみよう」
「実際にKPIを使ってみよう」
「誰かに今日学んだ話をしてみよう」

この本を読み終わったあなたが、同様の感想を持っていただければ、とてもうれしいですし、この本を書いたことは成功だったと思います。

 私は、バランス・スコアカードに取り組み、CSF・KPI・KGIという言葉を知りました。最近、その説明や理解の「壁」を感じていましたがこの本を読んですっきりしました。KPIマネジメントの基礎から実践、レベルアップまで学べます。KPIを理解するには最適な本です。戦略目標、戦略マップ、バランス・スコアカードという言葉は一切出てきませんが、P72には以下の解説がありました。
「青」はこのまま進んで大丈夫。
「黄」は注意する。あるいは停まる。
「赤」は停まる。
この本を熟読して、KPIについての理解を深めます。

「未来の年表」人口減少日本でこれから起こること 河合 雅司 著

株式会社講談社発行 2018年7月13日第30刷発行

(P156 {AIで解決}は夢物語)
 次に、少子高齢化対策の二つ目、「AI」について考えたい。
 当面の労働力不足を補う方策として期待されているのが、AIで注目されるICTや、ロボットの活用である。
 経済産業省はコンビニ大手5社と協力し、全商品を電子タグで管理することで2025年までに無人レジ化を実現する構想を発表した。こうした技術が普及すれば、労働力不足はかなり解消するだろう。AIの技術開発は目覚ましく、部分的には人を代替して余りある実績を残す技術が登場してきている。それは日本が経済成長を成し遂げるうえで必要であることは間違いなく、私もドラえもんの道具を見てみたいし、SF映画が描くような、AIがあらゆることをなす社会の到来を心待ちにしている1人である。
だが、人間の知能を凌駕し、人々が「仕事に追われる」ことを真剣に懸念しなければならないレベルに達する見通しは立っていない。“夢物語”の域を出ていないのだ。現段階でどこまで労働力不足の解決策として織り込んでよいのかは判断に迷うところである。
 それ以前の問題として、AIの開発者たちが、“人口減少後の社会”をどう描いているがよく見えてこない。AIは大量のデータを学習することで精度を上げていく。「正解」が明確で定期的な仕事にはその能力を発揮するが、その「正解」は人間が定義している。
 我々が求めているのは、現状の業務をAIに置き換えるだけの作業ではなく、人口が大きく減った時代の課題にAIをどう活用するかという展望だ。何をもって「正解」とするかは、開発者が人口減少社会をどう先読みするかで大きく変わってくる。
 開発者たちがAIを使った未来図を描くことなく、単なる精度競争にひきずられたならば、人口減少社会の課題解決に役立たぬものにしかならない可能性だってあるのだ。「AIによってなくなる仕事」といった特集記事もよく目にするが、AIには限界があると認識したほうが適切だ。人口減少の過程でどのような課題が生じるのかをしっかりと整理し、AIと人間の役割分担を考えていくことを優先すべきなのである。

 前回に続いて、「未来の年表」の1ページが参考になりました。経営者に必要なのは、「分析」の基礎技術。分析の目的は、①正しい意思決定をすること、②それによって、組織を良い方向に動かすこと。AIに負けない思考法を身に着けることが必要です。事業の戦略や分析を円滑にするにはビジネスフレームワークの活用=戦略ナビCloudの出番です。

「未来の年表」人口減少日本でこれから起こること 河合 雅司 著

株式会社講談社発行 2018年7月13日第30刷発行

(P89 2030年百貨店の銀行も老人ホームも地方から消える)
(前文略P907行目から)
 国土交通省の「国土のグランドデザイン2050」(2016年)が、三大都市を除いた地域において主なサービスごとに立地に必要な需要規模を、「存在確立50%」と「存在確率80%」という形で計算している。「存在確率50%」とは、その人口規模を下回ると廃業や撤退するところが出てくるラインだ。逆に「存在確率80%」とされる人口規模であれば、ほぼ存在し得る。
 次ページの図をご覧いただきたい。例えば、食料品の小売店や郵便局、一般診療所の存在確立80%は、500人だから、その人数規模の集落であればこうした事業は成り立つ。一方介護老人福祉施設では4500人の人口規模なら存在確立は80%だが、500人では50%。銀行は9500人の人口規模の自治体であれば存在するが、6500人になると撤退を始める。一般病院は2万7500人規模の自治体ならほぼ存在するが、5500人になるとあったりなかったりする。
 このように、「存在確立80%」を見ていくと、訪問介護事業は2万7500人、相当の知識と経験を持つ医師が常時診療し、設備もしっかりした救急告示病院は3万7500人、優良老人ホームは12万5000人、大学や映画館は17万5000人。公認会計士事務所は27万5000人だ。これらを大きく下回ると、立地が苦しくなり始める。
 (以下略)

 この本は、盛岡市にある智創税理士法人盛岡事務所から献本いただきました。献本は、逝去された楢山直樹先生からご子息の代表社員税理士楢山直孝氏に引き継がれ、48回目です。発送状には「決してネガティブにとらえすぎず、チャンスととらえていただけるよう、先見の明をもって経営していただきたいと思います」と書いてありました。ただ、ただ敬服いたしました。
 2030年といえば12年後、私は81歳になっています。住んでいる青森市の推計人口は23万9000人。公認会計士事務所の存在確立は危うくなり、銀行の数も減っているのではないでしょうか。人口減少を「重要な経営課題」ととらえましょう。

「事業性評価実践講座」 相馬裕晃著

中央経済社発行 2017年3月28日第1版第1刷発行

(P40 ◆目利き能力とは)
金融庁は、目利き能力を次のように定義している。
①企業の将来性、技術力を適格に評価できる能力
②顧客企業の事業価値を高め、経営課題を発見・把握する能力

①は2008年から使われている定義であり、②は2011年から使われている定義だ。
②の定義は事業価値の評価だけでなく、経営課題の発見・把握も含んでいることから、銀行員に求める能力の水準は高くなっていることがわかる。
 また、金融検査の結果を段階的に評価する「金融査定制度」の改正案で目利き能力が評価点のプラス要素とされた。その際のパブリックコメントで、目利き能力の定義について質問があり、記入帳が回答している(図表2-1-1)。質問が出るほど「目利き能力」は、抽象的でわかりにくい言葉なのだろう。

 銀行員には、顧客企業の事業の現況、将来の成長可能性を見極めて、融資実行の有無を判断する能力が求められている。そして、定量面だけでなく、定性面も勘案して、融資判断することを金融庁は求めている。
 したがって、銀行員の目利き能力とは、P/L、B/S、C/Fといったスコアリング中心の定量分析のみならず、技術力・販売力やビジネスモデルなどの定性分析をした上で、顧客企業の事業価値を見極め、融資の判断や、経営課題を発見・把握する能力と定義できるだろう。
 別の言い方をすれば、目利き能力は、①定量分析と定性分析の2つの分析を駆使して、顧客企業がどれだけ稼ぐ能力(事業価値)があるかを見極めて、銀行員の本業である融資の判断をし、コンサルティング機能を発揮するうえで、必要な経営課題を発見する、という極めて重要な能力だ。

 先週、東京で早期経営改善計画をテーマに「軍師の会」をやりました。参加した方から、「面白かった」「ワクワクしました」という感想をいただきました。金融機関は認定支援機関として事業性評価の機能を強化するため、コンサル業務にのりだしています。ローカルベンチマーク→早期経営改善計画→モニタリングという取組は、今、必要とされている流れです。会計事務所が認定支援機関として本領を発揮するチャンスではないでしょうか。「軍師の会」では、戦略ナビをツールとして使い、経営支援業務の標準化レベルを上げる取り組みを始めています。

「ワクワク会議」 堀 公俊 著

日本経済新聞社発行 2009年12月16日1版第1刷

(P62 反省しても直らない)
皆さんは、何か大きな仕事やイベントが終わったときに、「振り返り」ってやってますか?
え、そんな面倒なことはやっていない?それはよくありませんね……。今からとっておきの方法をお話しますので、一度やってみてくださいよ。やればその良さが分かりますから。
 プロジェクトマネジメントの定例ミーティングでよく使われる「KPT」(ケプトって呼ぶ人が多いです)という方法を紹介します。わが家で実際にやっている話をもとに。

 私の家には中学生の娘がいます。彼女は、塾が大嫌い。自己流で勉強をやらせるのも不安なので、親や姉が勉強を教えたり、やり方の指導をしたりしています。それが良かったのか悪かったのか、定期テストが終わるたびに、親子でKPTをやって勉強法の改善をしています。
 ホワイトボード(ホームセンターで小さいのを買ってきました)を用意して、真ん中にタテ線を引きます。左側をさらに上下に2分割します。Tの次を時計方向に90度回転させた構図ですね。逆トの字型といったほうが分かりやすいかも。
 左上のスペースにK、左下にK、右にTと、それぞれの隅に書きます。これで準備OK。

まずは、K(Keep)。今学期のテストに向けてやってきたことで、継続すべき良かった点を挙げていきます。
 うまくいったことは変える必要がありません。環境が変わって、うまくいかなくなるまで、続けましょう。
 どんな些細なことでもかまいません。本人は当たり前と思っていても、そこに成功のコツが隠れているかも。「宿題プリントが試験前にきっちり整理できていたよね」とか、「お母さんが夕食を早めにしたので、夜の勉強時間が確保できたよね」とか……。本人以外が指摘して気がつくこともよくあります。
 個人に関することでも、チーム全体の話でもかまいません。できるだけたくさん、ひっぱりだしましょう。「○○○を○○○する」と、文章で具体的に書くようにします。付箋に書き出すのも手です。

 次は、P(Problem)。やってきたことの中で、問題点を挙げていきます。
 うまくいかないことは、何かやり方を変えないと。うまくいかないことを、気合やガンバリズムだけでやろうとするから、少しもよくならないのです。
 やてってみてうまくいかなかったこと、やり方を変えたほうが良さそうな点、新たに発生した問題、将来起こりそうな問題点……、洗いざらい挙げていきましょう。「1週間で30ページのドリルをやろうとした」「単語帳を使って英単語を覚えようとした」といった感じで。
 わが家でもそうなんですが、Pをやっていると「なぜ(Why)、やらなかったの?」と原因探索にいきがちになります。なるべく本人の“責任”を追及するのではなく、「何が(What)マズかったんだろうかね」と“原因”を追求するようにします。
「ヒト」と「コト」を分けるのです。そうしないと、怖くて問題が出てこなくなる。この点は、くれぐれも、気をつけてくださいね。

 そして最後にT(Try)です。次にやってみたいことを挙げていきます。Kの取り組みのさらなる工夫、Pの問題に対する対策、新たなチャレンジ、などなどです。
 挙げたからといって、発案者が絶対やらないといけない、というのではありません。「できる/できない、誰がやるんだ」はさておき、自由にたくさん出していきましょう。「英語の試験の前は、家庭内で日本語禁止!」といった、ムチャもOK。ありとあらゆる可能性、検討していくようにします。
 その上で、実現性や効果を考えて優先順位をつけ、誰が(Who)、いつまで(When)に、何を(What)するか、アクションプラン(「3w」)を確認します。やりたくないことは、やっても効果が出ません。やる気度合いもこの段階で見極めましょう。
 全部終わったら、わが家ではホワイトボードの内容を書き写し、冷蔵庫に貼っています。いつでも眺められるようにしているのですが、娘は目障りだと……。

 「KPT」はやりっぱなしではいけません。次回の振り返りに活かすこと、大切です。次にやるときは、前回のTの内容がKになったのか、Pになったのかを確認するようにします。数回Kになったのは外しても構いません。習慣になったということですね。何度やってもPになるもの、別テーマとして取り出し、議論したほうがいいです。

 今回は、堀 公俊著{ワクワク会議}です。会議や打ち合わせの基本として、web軍師で「KPT」の活用を進めています。当社は、習慣になってきたのですが「惰性」になりがちで、基本を確認するため、長かったのですが復習の意味で「反省しても直らない」の部分を全部書きました。

「100年企業を作る 親子でM&A」田中 一 著

合同フォレスト株式会社発行 2018年6月20日第1刷発行

(P95 「親子でM&A」の要諦とは)
 一般的なM&Aの全体像について理解したうえで、次に、「親子でM&A」について見ていきましょう。全体の流れとしては、M&Aと同じように4つの段階を経る形となっています。またその中身についてもM&Aと本質的には共通しています。
 まずは、現経営者による「価値の見える化(セルフ・デュー・デリジェンス)・強化」です。事業承継をしようと考えた段階から、会社の価値(経営の仕組み)を見える化し、更にそれを磨き上げて(強化して)いきます。
 次に、現経営者及び後継者による「価値の理解(デューデリジェンス)・共有」を行います。現経営者と後継者がともに会社の価値を理解していないと、事業承継は成功しません。相互理解を目指しつつ、並行して、後継者育成も進めていきます。
 双方が事業承継に合意したら、事業承継計画に従って社長交代・自社株移転等の手続きを進めていきます。事業承継後については、後継者が中心となって、「価値の実現」を図ります。前任の経営者から引き継いだ会社の価値を更に高め、会社の円滑な運営をします。
 最後の段階としては、「価値の変革・進化」があげられます。100年企業を実現するにあたり、事業承継は一代で完結するものではありません。次の世代、また次の世代へと事業承継をしていかなければなりません。そのため、親から引き継いだ事業を守るというだけでなく、承継した事業を自身の事業としてとらえ、変革・進化させることが必要です。そのようにして、プラスの連鎖を生むことが、「親子でM&A」による“100年継続企業戦略”なのです。

 この本は、青森県出身で大学卒業後、国税専門官として税務署に勤務。税理士試験に合格後、東京で事業承継に取り組んでいる田中先生が書いたものです。お世話になっている、MAP経営の方からの紹介で里帰りのついでに当社によってくださいました。親子で事業承継する場合でも、第三者に承継するのと同じように考え、客観的な判断が大事と強調しておられます。P160には、アンゾフの成長マトリクスが示してあります。100年企業を目指すためには、成長戦略が基本と再認識しました。

「戦略参謀の仕事」稲田 将人 著

ダイヤモンド社発行 2018年2月15日第1刷発行

(P338 「PDCAが廻っていない」はマネジメントができていないのと同じ)
 「うちの会社はPDCAが廻っていないので……」
こう言われる社長や企業の完備は実に多いものです。
 実際、PDCAが重要であること自体は理解しているものの、日々の売上づくり等に意識が向き、社内のPDCAが精度高く廻る体制づくりへの取り組みは、残念ながら二の次、三の次になっているようです。
 前述のPDCAが昨日していない例を、もう少し詳細に解説します。
◎「丸投げPDCA」
マネジメント、マネジャーがPDCAを「掛け声」として唱えるものの、あとは現場や担当者に丸投げして。「やっといてね」「どうだった?」だけの状態。
言い換えると、マネジメント、マネジャーが自分たちは「やっとけ」と言えばいい特権階級であると勘違いしている状態。これは、正しいPDCAを徹底していて、すでに組織の能力が高い状態の場合のみ成り立つこと。
そもそも新しいプロジェクトというものは、上長が、健全に機能しているかをしっかりとみて、必要な指示や手助けをすることで、更に磨かれて成功確率が上がっていくもの。それが正しいPDCAの姿だということを、これっぽっちも理解していない困った状態。
◎「どんぶりPDCA」
PとCの精度が低いままに、ただ、PDCAを廻しているつもりになっている状態。例えば、ある商品カテゴリーの売上が悪かった場合に、その仕入れ担当バイヤーを「あいつの仕入れの腕は良くない」とただやみくもに配置転換をしてしまうケース。(以下略)
◎「なーんちゃってPDCA」
フレームワークなども使い、体制を整えて一見「らしく」つくられた、見栄えのする報告資料が大量に積み上げられる。見せたい部分だけをアピールする「自慢合戦」と化した御前会議で発表され、もっとも重要な「読み違い」からの学びには、ほとんど触れられない、形骸化しているPDCA。(以下略)
◎「我流PDCA」
PDCA自体が、なまじわかりやすい概念であるために起きる、自己解釈、我流のPDCAが行われている状態。仕事のできる人の説くPDCAには、確かに有効なノウハウ、というよりはテクニックが編み出されて含まれているものである。(以下略)

 前回と同じく、元マッキンゼーのコンサルが書いた本です。著者が経営改革に携わった主な企業は、日本コカ・コーラ、三城、ワールドなどの大企業や中堅中小企業です。その戦略参謀として組織でPDCAが廻っていない事例をもとに述べています。この本を読んで、小規模企業がPDCAを廻す基本は、会議や打ち合わせが基本で、これまで「成り行き学習」だったことを改め、「継続学習」に変えることが大切と改めてわかりました。戦略ナビはそれを実行するためのツールです。

「戦略参謀の仕事」稲田 将人 著

ダイヤモンド社発行 2010年5月30日第1刷発行

(P251 ある会社のⅤ字回復のためのシナリオ作り)
 他人が策定した戦略を渡されて「ではあとは、御社で実践してください」というのは、確かに言われた当人からすれば、酷な話です。たとえてみれば、トランペットやサックス、ギター等を初めて手にした人に、音の出し方、譜面の読み方、やっていいこと、悪いことを座学で教えたうえで、楽器を持たせて、いきなりステージに立たせる状態に近いと思います。
 かつて、ある会社のV時回復のためのシナリオ作りを依頼された際に、社長から、
「うちは実行力がありますから、戦略だけあれば絶対大丈夫です」
と強く言われ、戦略立案の指導だけを請け負ったことがあります。しかし、その後、一部の側近幹部の「思惑」が働き、本筋とは関係のないところでの抵抗が起き、改革はスタートさえしませんでした。以来、研修の目的以外では、戦略立案だけの前提で請け負うことは、原則的にしないようにしています。
 戦略立案が必要なほとんどの企業は、PDCAを適切に回す実践力の方に問題があります。「楽器の効果的な演奏の仕方、ステージでの立ち居振る舞い、顧客とのやり取りの仕方」までのディレクションを請け負い、改革の起動と初めの段階での舵取りを共に行う……。
 このようなプロジェクトの請け負い方をするようにしています。

 著者は、元マッキンゼーのコンサルタント。「戦略参謀」「経営参謀」「PDCAプロフェッショナル」等の著書があります、P77に、「参謀とは、会社の将来も見据えたうえで、事業最適化を進める視点で自ら考え、自ら動いて社長業をカバーする役割」という定義が書いてありました。
 これまで、「戦略参謀」というAccessの商品を作り普及してきましたが、「フレームワークをつなぎ合わせることにより課題解決ができるという提案」をしているのではありません。全面Cloudになって、商品名も「戦略ナビCloud」に変えました。「戦略ナビCloud」はPDCAを適切に回す実践的なツールです。ユーザー会「軍師の会」の皆さんと、現場力を培います。

「チーム・ファシリテーション 最強の組織をつくる12のステップ」堀 公俊著

朝日新聞出版 2010年5月30日第1刷発行

(P172 学習のサイクルを回そう)
 あわせて、「やれやれ終わった……」とやりっぱなしにせずに、自分たちの行動を振り返ることが大切です。それも、なるべく間をおかず、鉄が熱いうちに。
 活性化されたチームには、自律的な問題解決だけでなく、自律的な学習が求められます。経験を学習に結びつけてこそ、持続的に成長できるチームになります。振り返りはそのために欠かせないステージで有り、あらかじめその時間や場所をチーム活動の中に組み込んで置かなければいけません。
 「甲子園で優勝するのは一番強いチームではなく、試合の度に成長していくチームだ」と言われています。まったくその通りで、チームが最初から強いわけでも素晴らしい能力を備えているわけでもありません。悪戦苦闘の中から、新たなスキルを身につけ、互いの能力を高め合い、段々強くなっていくのです。その鍵を握るのが振り返りと言う訳です。
 やり方はいろいろあります。例えば、プラス/デルタ(良い点と悪い点を出すやり方)や、KPT(Keep Problem Tryを挙げていく方法)等がポピュラーなところです。ところが、これはあくまでも簡便な方法であり、下手をすると単なるダメ出しや反省会になる恐れがあります。
 せっかく苦労して活動を進めてきたのですから、少し時間をかけてでも、本当の振り返りをして、深い学習を導き出しましょう。そのために、体験学習の循環家庭を紹介しておきます(津村俊充/石田裕久編「ファシリテーター・トレーニング」ナカニシヤ出版)
➀体験する
チームが結成されてから成果を得るまで、その間に起こったことはすべて体験です。中でもみんなで困難な場をくぐり抜けた共同体験は、学習のための格好の材料を提供してくれます。
➁指摘する(会話)
体験を振り返って、何があったか、気づいたことや感じたことを各自で出し合っていきます。自己開示とフィードバックを使って学習の素材を集めていくわけです。
➂分析する(対話)
その素材を元に、「なぜ、そうなったのか」「なぜ、そう感じたのか」。原因やメカニズムをみんなで分析していきます。そうして、そこでおこったことの意味を見つけていきます。
➃仮説(概念)化する(議論)
最後は、分析から得たものから、「こういうときは、こうすれば良い」と言った行動原理、成功法則、教訓などの仮説を発見します。それを次の体験に生かしていく訳です。

 振り返りは、この順番でやっていかないと良い学びが得られません。私達(特に大人)はとすると何か体験した後ですぐに「分かった、次はこうすればいいんだ」と安易に結論を出しがちです。①から④へと一足飛びに飛んでしまうのです。

 この本は、何度か読み返し付箋がいっぱいついています。今回は、本の帯にある「たかが話し合い、されど話し合い。毎週のチーム会議で組織力を飛躍的にアップさせる」という言葉にひかれ、また読みました。今日の1ページには何度か登場しています。PDCAを加速するのはKPT、書きこまれた内容を確認し、深い議論もせず「こうすればいい」と決めつけていました。変わるためには、体験→会話→対話→議論が必要と改めてわかりました。

「吉越式会議」吉越 浩一郎 著

講談社発行 2009年11月30日第一刷

吉越式会議」吉越浩一郎著(P59 プライオリティを個人視点から、会社視点に変える)

 実は会社として取り組んでほしいのは、重要度が高くて、緊急度が低い③であることは、とりわけ経営者や管理者の方々ならお分かりいただけるでしょう。そして、私がこれまでにも触れてきた会社の「課題」や根の深い「問題」も実はここにたくさん眠っています。
 ちなみに、重要度も低く緊急度も低い④は、処理できるに越したことはありませんが、忙しくて仕組みが③によってできてこないうちは、優先的にネグっていい対象です。それ以上忙殺されないよう、意図的に④を捨ててかかるのです。将来③の仕事によって仕組みができ、時間に余裕が生まれてきたら、その時に④の仕事にとりかかればいいのです。
 しかし、社員が自分で仕事のプライオリティを決めるなら、間違いなく緊急度から選んでしまうのです。社員とはそういうものです。忙しい日々を送っている社員は、①②の仕事こそ、優先度の高い仕事、最低でも終わらせておかなければいけない仕事だと思ってしまうのです。
 そのことばかりに頭が行ってしまうということです。そして多くの場合、①②の仕事を終えてから、ようやく③④の仕事をしようとする。ところが、ここでもまたやっかいなことが起こります。
 本来なら、重要度の大きな仕事③から手をつけてほしいにもかかわらず、手をつけられるのは、重要度の低い④からということが多いのです。なぜかと言えば、その方が簡単だから、やりやすいからです。

 P62では「社員に対して、個人のプライオリティではなく、会社のプライオリティでやるべき仕事を選んでもらう。プライオリティを個人視点から、会社視点に変える。これこそが、実は会議の真の目的なのです。」とあります。プライオリティとは、優先権や優先順位という意味。バランススコアカードのテーマは「ビジョンにもとづく戦略の実行」web軍師を使った会議は、吉越式の19年連続して増収増益を達成することができた会議のやり方にもつながっています。