今日の1ページ

「4倍速で結果を出すチームリーダーの仕事術」株式会社あしたのチーム 代表取締役会長 高橋 恭介 著

㈱PHP研究所 2019年3月19日第1版第1刷発行

(P26)
◆なぜPDCAがうまく回らないのか?
 チームリーダーが、4倍速でマネジメントサイクルを回していく際に基本となるのが、PDCAです。PDCAは言うまでもなく「Plan」「Do」「Check」「Action」
の頭文字をとったものであり、ビジネスを行う際の基本ですが、うまく回すことができていない企業や組織が多いと感じています。
 本書では、第3章から第6章までの四つの章で、「4倍速のチームリーダーになるために、PDCAのそれぞれを段階で行うべきこと」を解説していきますが、ここ(序章)ではPDCA全体に対する私の考え方を簡単に述べておきたいと思います。
 PDCAをうまく回すことができていない企業を見ていると、そもそもPDCAを1周回すことができていないケースがほとんどです。
 たとえば、Planとして目標や計画を立てても、その目標や計画が適正かどうかの議論や検証に終始してしまい、Doが行われていないケースが散見されます。いわば、PCPCの連続で、大事なDoがないのです。これは、大企業に多いケースなのかもしれません。
 これに対して、中小企業でよく見かけるのが、PDPDの連続でCheckがないケースです。Cがないために、目標や計画に対しての実行度合の評価や検証が行われていません。これでは、目標が高すぎたり低すぎたりしても、それに気づくことができないだけでなく、実行段階のやり方の何が良く、何が悪かったのかもわかりません。
 Cがなければ、Actionとしての改善もありませんから、いわゆる「やりっぱなし」になってしまうためレベルが上がっていかないのです。PDPDでは同じところを行ったり来たりしているだけです。
 同様にPDCAを形式上は回せていても、それがレベルアップにつながっていないケースあります。これは、CAが形ばかりで質が悪いのです。これでは、せっかくPDCAを回しても意味がありません。PDCAは本来、らせん階段を上るように回転すればするほど上へ上へと上がっていくべきものなのです。

 「あしたのチーム」人事評価で良く聞く名前です。前回の武蔵野小山社長の本と同じくおすすめの本です。私が今、興味を持っているのは、スピード感のあるPDCA。4倍速のPDCAとは、1年を4半期にわけ3ヶ月単位でPDCAを回すという意味でした。詳細は、本で確認してください。PDCAを回す前にリーダーとしてどうあるべきか、という事もわかりやすく書いてあります。高橋会長の本は以前「人事評価制度だけで利益が3倍上がる!」を読んでいます。この本も勉強になったのですが、以前から学んでいる成長支援制度と似ているので同じような考えだな…という程度に理解しただけだったのですが、「4倍速で成果を出す…」を読んで違いが良くわかりました。「明日の人事評価」の前提には会社が成果を出すための仕組みがあります。読んで実践する価値があります。いい本に出会えました。

「儲かりたいならまずココから変えなさい!」小山 昇 著

朝日新聞出版 2018年11月30日 第1刷発行

(P147)
 「PDCLAAサイクル」を回して、計画を見直す
 私が経営者として未熟だったころは、いつも倒産と隣り合わせでした。「もう、会社を売り飛ばすしかない」と追い詰められたことも、一度や二度ではありません。
 倒産寸前だった武蔵野が、「売上70億円、経常利益7億円、16年連続増収、残業月平均17時間」の超優良企業に変わったのは、経営にPDCAサイクルを取り入れ、「同じ失敗を繰り返さない」ように改善してきたからです。
「PDCAサイクル」とは、Plan(プラン/立案/計画)、Do(ドゥ/実行)、Check(チェック/点検・確認)、Action(アクション/改善)のサイクルですが、武蔵野のPDCAサイクルは、この4つ以外にも、大切にしている要素が「2つ」あります。それは「L」と、「A」です。
・「L」=「Learn(ラーン)」(学ぶ。習得する)
・「A」=「Assessment(アセスメント)」(評価・検証する)
厳密に言えば、武蔵野の「PDCAサイクル」は、「PDCLAAサイクル」になっています。
【武蔵野のPDCLAAサイクル】
・P(プラン/立案・計画)
 計画を立案するときに大切なのは、「正しい計画を作る」ではなく「でたらめでもいいから、できるだけ早く計画を作ること」です。完璧な計画を100点満点としたら、「10点レベル」の計画で構いません。計画の精度を下げる事より、見切り発車でもいいから「すぐに実行に移す」ことが重要です。
・D(ドゥ/実行)
 お客様も時代も常に変化をしているので、悠長に構えていたら、確実に変化に乗り遅れます。したがって中小企業は、エイヤーとざっくり計画を立て、見切り発車し、「実行しながら考える」のが正しい。人間は、およそ経験のないものはうまくできない。だから、行動して、経験を積み上げる必要があります。
・C(チェック/点検・確認)
 社員に実行させても改善は進みません。
 社員は頭がいいので、実行したフリをしたり、嘘をつく。そこで、「実際に行動したかどうか」をチェックすることが重要です。私が他の社長よりも優れている点は、「体力」と「失敗の数」と、「愚直なチェック」です。武蔵野は、日報(毎日)のほかに、「支店レビュー」「店長会議」「部門長会議」「リーダー会議」を定期的に(毎月)実施し、各支店、各部門の進捗状況をチェックしています。多くの社長は、社員に「やれ」とはいうものの、「やったかどうか」のチェックをしません。社長がチェックをしなければ、それは「やらなくてよい」と言ったのと同じ意味です。中小企業の社長は、自社の方針がきちんと実行されているのかチェックしなければなりません。
 大切なのは、やるべきことがきちんとできたかを確認することです。
・L(ラーン/習得)
 社長がいくら命令しても、それだけでは社員は変わりません。人が変わるのは、命令された時ではなく、「自分で気づいたとき」です。わが社の社員は、「PDCLAAサイクルを回すことで、自ら、「何をすれば良かったのか」「何をやればよかったのか」「どうして結果がでなかったのか」「どのように改善すれば結果が出せるのか」「結果を踏まえて、どのように計画を立て直せばいいのか」を学び、改善に役立てています。「C」と「A」の間に「L」を入れているのは、でたらめな計画をもとに行動をおこすと、「やったから気づく(やってみないと気がつかない)」ことがあるからです。
 武蔵野の「PDCLAAサイクル」は、業務改善のプロセスであると同時に、社員に「今までと同じやり方、今までと同じ考え方、今までと同じ人では、成長しない」ことを気づかせるための「学びのプロセス」でもあります。
・A(アセスメント/評価・検証)
 PDCAサイクルの「A」は、「アクション(Action)」と考えるのが一般的です。しかし、もう一つ、とても重要な意味があります。それは、「アセスメント」=「評価」です。チェックは、主に「実行したか、実行していないか」の確認であって、成果がでたかどうかチェックではありません。ですから、アクションする前に、実績に対する「アセスメント(評価)」をすべきです。「どうして成果がでたのか、どうして出なかったのか」を評価しなければ、次にどう計画をたて、どのように行動するかが決まりません。チェックのあとに評価「(アセスメント)を行えば、どのような実績につながったか「〇」「×」「△」の評価が出ます。
「〇」…「うまくいったこと」は、そのまま次回の「P(プラン)」にする(継続)
「×」…「うまくいかなかったこと」は止める(中止)
「△」…「その中間」は、改善(アクション)を加えて、次回の「P(プラン)」にする(変更)
・A(アクション/改善)
 長期経営計画(5ヶ年で売上倍増の計画)も、月々の実行計画も定期的にアセスメントを実施し、改善にむすびつけています。わが社は、様々な会議が開かれていて、私は社員の報告を聞きながら達成状況をチェックし、その場で「アセスメント(評価)」をして「これは続けよう」「これはやり方を変えよう」「これは止めよう」と次の指示を出しています。「成果がでたことは、そのまま実行」が基本ですが、お客様のニーズも、ライバルの動向も常に変化しているので、その都度、妥当性を精査し、積極的に改善を施しています。

 ドラッカーの「経営者の条件」に「成果をあげるには習慣である。成果をあげるには8つの習慣を持つ」という記載がありますが、武蔵野の「PDCLAA」はその内容を実践する仕組みになっていると理解しました。当社のお客様は、戦略ナビを「会議」に活用しています。いただいた「経営計画」とこの本を何度も読み、期待に応えることができるよう精進するとともに、わが社の仕組みも見直します。

「儲かりたいならまずココから変えなさい!」小山 昇 著

朝日新聞出版 2018年11月30日 第1刷発行

(P8) (はじめに)
 赤字から抜け出す「8つ」のステップ
 会社を赤字にしている元凶は「社長です」。赤字から脱出して、継続的に利益を出し続けたいなら、
「社長が、社内のだれよりもハードワークをする」
社長のハードワークは労基法の違反ではない
「社長が、失敗を恐れず、変化を怖がらず、やり方、考え方を変える」
「社長が、経験を積み、知恵をつける」
ことが条件だと私は考えています。
では、どのような知恵をつけ、どのように変化し、どのように実践すれば赤字から脱却できるのでしょうか。その答えのひとつが、本書です。「まず、何から手をつけたらいいかわからない」社長が多いが、無策のまま、やみくもに行動したところで、赤字から脱出することはできません。かえって傷口が大きくなるだけです。
赤字から脱出するには、ステップを踏んで、段階的に対策を打つ必要があります。
そこで本書では、赤字脱出の方法を「8つのステップ」で解説します。
この「8つのステップ」は、大きく、次の3つのプロセスに分かれています。
【赤字から脱却し、強い会社をつくるプロセス】
・ステップ➀、➁→社長がひとりで改善できるプロセス
・ステップ➂~➄→社長と幹部、社員が価値観を一つにするプロセス
・ステップ➅~➇→「儲かるしくみ」をさらに発展させていくプロセス
 何があっても潰れない強い会社をつくるには、まず「社長が変わる」こと。そして、社長と社員の「価値観を揃える」こと。「しくみ化」を図って、生産性をさらに上げることが大切です。

 先日、小山昇氏の経営サポートを受けている会社の経営計画発表会に出席する機会がありました。一緒に買った「利益を最大にする最強の経営計画」に書いてあるとおりの内容で大変勉強になり、決意を新たにできました。その経営計画書の中に「PDCLA」という記載があり、LはLEARN(アセスメント・仮設)という説明があったのが気になりこの本を買いました。P138に、厳密に言えば、武蔵野の「PDCAサイクル」は、「PDCLLAAサイクル」になっています。という記載がありました。今回は、この本の「はじめに」の部分を紹介させてもらいました。お薦めの本です。

「未来の年表2」河合 雅司 著

講談社現代新書2018年5月20日第1刷発行

(P193)「働けるうちは働け」
序「戦略的に縮む」ほど、ポジティブな考えはない
 こうしたことを言うと、「ここまで死ぬほど働いてきたのに、死ぬまで働けというのか!」「60歳を超すと体力も落ちる。病気がちになっても働かなければならないのか!」といった極端な意見が必ず登場する。だが、それを強制しようという話ではない。60歳以降の選択肢をできるだけ広げられるように、若いうちから自分の老後をしっかりと見据えたプランを描くことが大切である。
 政府内にも動きが出てきた。国家公務員の定年を現行の60歳から段階的に65歳まで引き上げようというのだ。国家公務員の定年延長となれば、地方公務員や民間企業でも追随の流れが広がろう。官民を問わず、60代の働き方の選択肢を増やすことは時代の要請である。国家公務員の定年延長には、民間への普及に向けた起爆剤としての期待もかかる。
 私は、前著「未来の年表」で、74歳までを“若者”と位置づける「高齢者の削減」を逓減したが、政府もようやく「高齢者の削減」に動き始めたということだろう。
 とは言え、本人がいくらやる気になろうが、政府が就労を促すために年金受給年齢の選択肢を広げようが、どれだけで高齢者の就労が進むわけではない。最も重要なのは、雇う側の意識改革だ。企業経営者が理解を示して、高齢者が働きやすい取組みを展開していかなければ、高齢者の雇用は広がっていかないだろう。
 すでに、高齢者の積極的な雇用にのりだしている企業もある。若手が足りない分、定年延長や再雇用で補う流れが強まるだろう。ただ、雇用後にも課題はある。多くの企業では60歳を超えるかたわら賃金水準を下げる仕組みを取り入れているが、必要以上に下げたのでは労働意欲は低下する。

 この本を読んで、今日の1ページで紹介した部分を小規模企業の経営者の立場で考えました。「大廃業時代、小規模事業者経営者の年齢が高齢化し、後継者不在で50%の企業が黒字で廃業している」ということが社会問題になっています。高齢者を雇用する環境を整えることも大事ですが、この本では74歳まで若者です。ポジティブ(積極的)な考えを持ち、小規模企業の経営者にもう少し頑張ってもらい、若い起業家にバトンタッチするという方法もあるのではないでしょうか。小規模企業経営者の平均年齢は70歳と言われていますが、今と昔では精神的にも肉体的にも10歳違うと思います。自分自身も考えを変え、お客様にも話してみます(汗。

会社四季報「業界地図」東洋経済新聞社 2018年9月6日第一刷発行

東洋経済新聞社 2018年9月6日第一刷発行

(P154)
■コンサルティング
 ビジネスコンサルティングと言っても、グローバル企業の戦略を練る外資系大手から中小企業診断士までその内容はさまざまだ。共通しているのは需要の底堅さ。キーワードは「不足」だ。
 中堅、大企業では核となる30代後半から40代前半が就職氷河期世代に重なるため、層が薄い。そこに現在の人手不足が重なり、業務のデジタル化による効率化が不可避だ。調査会社のIDCジャパンによるとデジタル化のための業務手順見直し、デジタル化後のための運用面での需要が拡大している。
 もう一つが中小・零細企業の後継者不足だ。経営破たんによらない廃業は以前から大問題。政府は税制を改正し、2018年4月から事業承継をやりやすくした。中小企業のM&Aを得意とする業者はここを好機と攻勢を強める。
 好循環でも快晴とならないのは皮肉にも人手不足。コンサルは労働集約型なので、即戦力の経験者は取り合いになっている。

 快晴とは「市場が急拡大し、大半の企業が利益を伸ばしている絶好調の状態」。コンサルティング市場は、人手不足のため晴れ(市場は堅調に拡大傾向、上位企業を中心に安定的に成長している)。国内のビジネスコンサル市場予測では、デジタル関連は5年で約4倍と記載されていました。
IBM戦略コンサルティングのHPには、「デジタル+経営戦略」破壊されるか破壊者になるか、デジタル戦略で攻めの経営を!という文言がありました。これからのコンサルティングは、デジタルを使った情報収集と共有それによるビジネスモデル(儲けの仕組み)と連想されます。中小企業数の減少は小規模零細企業の減少、小規模規模零細企業に必要なのは、当該地域の会計事務所。これからの会計事務所に求められているのはコンサルティング機能の強化ではないでしょうか。

「AI失業」前夜、これから5年職場で起きること 鈴木 貴博 著

PHPビジネス新書 2018年7月2日 第1版第1刷発行


第7章10年後でも生き残れる「3つの人材」
―この先、どのような仕事を選ぶべきか
人工知能がこれからの10年間に「できない」仕事を目指す (P222)
 さて、これからの10年間で生き残れる仕事という観点では事業開発以外の2番目の切り口も有望だ。それは汎用型人工知能が登場しない限りは人工知能にはできないことに強くなるという発想である。つまり当面の間、人間にしかできない能力において誰よりも強みを持つ事を目指すという考え方だ。
 そして、これから先の10年で人口知能がどうしても人間には勝てないのがコミュニケーション能力である。
 他人から共感を得る。他人の心をゆさぶる。他人と心を通わせる。他人を動かす。こういった人間の心に働きかける仕事は、これから10年間、人口知能に奪われることはない。そして、どの職業や職種につくかという解決策ではなく、どのようなスキルを社会人としてのコンピタンス(強み)として磨くかという観点での解決策になる。
 コミュニケーション力をコンピタンスにするということは言い換えると、若いうちは職場の中で「理解の早い部下」「先回りして行動できる部下」という評判を勝ち取ることであり、キャリアが進むうちに「若手社員のインフルエンサー」「リーダーシップのある上司」「多くの人間を組織化して求めることができる貴重な部門長」というようにその立場を段階的に高めていくことになる。
 そしてこのようなコンピタンスを持つ人材こそが、今、最も多くの企業においてのどから手が出るほど欲しい人材、言い換えると不足している幹部人材なのである。
 そうなってきた最大の原因は、実は過去30年間起きてきた従業員の非正規労働化にある。

 この本は、ジュンク堂で見つけました。AI失業は金融と運輸から始まる…P43を読みそのことも良くわかりました。5年などたいした変化は起きないのでは…先行き不透明なので、外部環境の変化は、現在の状況から推測される範囲で考えようと思っていましたが大きな間違いでした。自動車がすべてを人工知能で完全に運転できるようになれば、世界の運輸市場と物流市場は革命がおきます。それが、2022年から始まります。会計事務所の業界もこれから大きく変わります。戦略ナビCloudはどうなるのでしょうか?この本を読み、組織のコミュニケーション力を高めるツールとして、活用事例を積み上げていきたいと思いました。

「戦略参謀の仕事」稲田 将人 著

ダイヤモンド社発行 2018年2月15日第1刷発行

(P338 「PDCAが廻っていない」はマネジメントができていないのと同じ)
 「うちの会社はPDCAが廻っていないので……」
こう言われる社長や企業の完備は実に多いものです。
 実際、PDCAが重要であること自体は理解しているものの、日々の売上づくり等に意識が向き、社内のPDCAが精度高く廻る体制づくりへの取り組みは、残念ながら二の次、三の次になっているようです。
 前述のPDCAが昨日していない例を、もう少し詳細に解説します。
◎「丸投げPDCA」
マネジメント、マネジャーがPDCAを「掛け声」として唱えるものの、あとは現場や担当者に丸投げして。「やっといてね」「どうだった?」だけの状態。
言い換えると、マネジメント、マネジャーが自分たちは「やっとけ」と言えばいい特権階級であると勘違いしている状態。これは、正しいPDCAを徹底していて、すでに組織の能力が高い状態の場合のみ成り立つこと。
そもそも新しいプロジェクトというものは、上長が、健全に機能しているかをしっかりとみて、必要な指示や手助けをすることで、更に磨かれて成功確率が上がっていくもの。それが正しいPDCAの姿だということを、これっぽっちも理解していない困った状態。
◎「どんぶりPDCA」
PとCの精度が低いままに、ただ、PDCAを廻しているつもりになっている状態。例えば、ある商品カテゴリーの売上が悪かった場合に、その仕入れ担当バイヤーを「あいつの仕入れの腕は良くない」とただやみくもに配置転換をしてしまうケース。(以下略)
◎「なーんちゃってPDCA」
フレームワークなども使い、体制を整えて一見「らしく」つくられた、見栄えのする報告資料が大量に積み上げられる。見せたい部分だけをアピールする「自慢合戦」と化した御前会議で発表され、もっとも重要な「読み違い」からの学びには、ほとんど触れられない、形骸化しているPDCA。(以下略)
◎「我流PDCA」
PDCA自体が、なまじわかりやすい概念であるために起きる、自己解釈、我流のPDCAが行われている状態。仕事のできる人の説くPDCAには、確かに有効なノウハウ、というよりはテクニックが編み出されて含まれているものである。(以下略)

 前回と同じく、元マッキンゼーのコンサルが書いた本です。著者が経営改革に携わった主な企業は、日本コカ・コーラ、三城、ワールドなどの大企業や中堅中小企業です。その戦略参謀として組織でPDCAが廻っていない事例をもとに述べています。この本を読んで、小規模企業がPDCAを廻す基本は、会議や打ち合わせが基本で、これまで「成り行き学習」だったことを改め、「継続学習」に変えることが大切と改めてわかりました。戦略ナビはそれを実行するためのツールです。

「吉越式会議」吉越 浩一郎 著

講談社発行 2009年11月30日第一刷

吉越式会議」吉越浩一郎著(P59 プライオリティを個人視点から、会社視点に変える)

 実は会社として取り組んでほしいのは、重要度が高くて、緊急度が低い③であることは、とりわけ経営者や管理者の方々ならお分かりいただけるでしょう。そして、私がこれまでにも触れてきた会社の「課題」や根の深い「問題」も実はここにたくさん眠っています。
 ちなみに、重要度も低く緊急度も低い④は、処理できるに越したことはありませんが、忙しくて仕組みが③によってできてこないうちは、優先的にネグっていい対象です。それ以上忙殺されないよう、意図的に④を捨ててかかるのです。将来③の仕事によって仕組みができ、時間に余裕が生まれてきたら、その時に④の仕事にとりかかればいいのです。
 しかし、社員が自分で仕事のプライオリティを決めるなら、間違いなく緊急度から選んでしまうのです。社員とはそういうものです。忙しい日々を送っている社員は、①②の仕事こそ、優先度の高い仕事、最低でも終わらせておかなければいけない仕事だと思ってしまうのです。
 そのことばかりに頭が行ってしまうということです。そして多くの場合、①②の仕事を終えてから、ようやく③④の仕事をしようとする。ところが、ここでもまたやっかいなことが起こります。
 本来なら、重要度の大きな仕事③から手をつけてほしいにもかかわらず、手をつけられるのは、重要度の低い④からということが多いのです。なぜかと言えば、その方が簡単だから、やりやすいからです。

 P62では「社員に対して、個人のプライオリティではなく、会社のプライオリティでやるべき仕事を選んでもらう。プライオリティを個人視点から、会社視点に変える。これこそが、実は会議の真の目的なのです。」とあります。プライオリティとは、優先権や優先順位という意味。バランススコアカードのテーマは「ビジョンにもとづく戦略の実行」web軍師を使った会議は、吉越式の19年連続して増収増益を達成することができた会議のやり方にもつながっています。

『「ホンネ」を引き出す質問力』堀公俊 著

PHP研究所 2009年9月29日第1版第一刷

『「ホンネ」を引き出す質問力』堀公俊(P111 寄り添いつつ自分のペースに引きこむ)
 彼は(本人が意識しているかどうかは定かではありませんが)主に三つのテクニックを使っています。いずれも自己開示の流れをコントロールする技法です。
 一つは、自己開示のコントロールです。相手を巧妙に自分のペースに引き込み勇み足を誘っているのです。
 それには2通りのやり方があります。一つは、プッシュと呼ばれる、追い込んだり、競争させたり、挑発させる働きかけです。相手にプレッシャーをかけて、その反発力を利用しようとする作戦です。コロンボ特有の「じらし」がプッシュです。リーダーズ・インテグレーションの前半戦も、ファシリテーターがあおったり、けしかけたりします。
 もう一つはプルと呼ばれる、自然の動きに任せ、引き出し、誘発する、湧いてくる働きがけです。相手が主体的に動くのをじっと待つ作戦で、相手を饒舌にさせて、ペラペラしゃべらせるのがプルです。リーダーズ・インテグレーションの後半戦はこちらになります。
 このプッシュとプルをうまく使い分けながら、相手のペースに合わせつつ、自分のペースにうまく引き込んでいく。これをペース&リードと呼びます。プッシュとプルをどう組み合わせるかは、テーマや相手によって一概にいえませんが、原則は柔道と同じです。押さば引け、引かば押せと覚えておきましょう。

 「彼」とは、あの刑事コロンボです。本の一部なので伝わりにくいと思ったのですが、なぜ会議で本音が引き出せないのか…という文言にひかれて読みました。堀 公俊氏は組織コンサルタント、日本ファシリテーション協会前会長です。事例を使い、わかりやすく書いてあるのでお薦めです。

『生産性』伊賀泰代著

ダイヤモンド社刊 2016年11月25日 第1刷発行

『生産性』伊賀泰代著私が今回、生産性について本を書こうと思ったのは、日本における(工場以外での)生産性に関する意識の低さが、世界と戦う日本企業にとって、大きな足かせになっていると感じたからです。
「競争に勝つためには、より長く働く必要がある」という労働投入型の発想では、人も組織も疲弊してしまうし、新しい技術や仕組みを積極的に取り入れ、生産性をどんどん上げていこうとする生産性重視型の企業に勝てるはずがありません。
また、最近よく耳にする「働き方改革」という言葉にも危うさを感じます。経済成長には女性や高齢者、外国人など新たな働き手が不可欠と考えるのもまた、労働投入型の発想だからです。長時間労働の是正に関しても、「低い生産性の仕事を長時間、社員にかしている企業」と「極めて高い生産性で朝から晩まで働き、圧倒的なスピードで世界を席巻してゆく企業の違いが理解されているようには見えません。
とはいえ、ここで一つ明確にしておきたいことがあります。それは、日本と米国の組織を比べた時、リーダーシップと生産性以外には、その人の人材力や組織力を左右する決定的な要因は何もないということです。勤勉や起立性の高さはもちろん、分析力や論理思考力、そして技術力から想像力まで、日本のビジネスパーソンの資質は極めてハイレベルです。あとは、リーダーシップと生産性の重要性をしっかりと理解し、紳士にその向上に取り組めば、スタートアップ企業であれ大企業であれ、日本企業は今よりはるかに高い地点に到達できるはずです。(P.6 はじめに)

「生産性とリーダーシップ」直面している課題です。最近、当社に前職が会計事務所とは全く関係のない業界から入った社員がいます。遠方のお客様でも現地まで行き監査してくるという、ビジネスモデルを変えるためSkypeでのやり取りを試行しているのですが、その社員は抵抗なく取り組んでくれます。
ベテランの社員に、これから「働き方を変えよう」現地まで毎月行かなくても長い付き合いでコミュニケーションがとれているのだから、クラウドで入力してもらい監査はSkypeでやろう!と言っても、笑ってそうですねというだけで実行にたどり着きません。この本を読み、危機感をもって取り組もうと決意を新たにしました。