今日の1ページ

『理念と経営』Vol.177令和2年9号 令和2年8月発行 発行人 田舞 徳太郎

発行所株式会社コスモ教育出版

(P08)
生産性と創造性、両方を向上させるチャンスが来た
株式会社シナ・コーポレーション代表取締役遠藤 功 取材文:上坂鉄
 コロナショックによって経営を取り巻く環境が大きく変わろうとしている。「ポストコロナ」とはどのような時代なのか、企業も変化を求められる今、この荒波をチャンスに変えるべく、取り組むべき「4つの戦略」をひもといていく。
(中略)
ポストコロナ時代の「SPGH戦略」
 経済成長率を縦軸に、安定性を横軸にグラフを作ってみると、昭和、平成、令和がどんな状況にあるのかが、すぐに見て取れます。忘れてはいけないことは、高成長、高安定の昭和の時代はもう「やってこないということです。そのためにやるべきことがあります。
 では、ポストコロナ時代には、どんな経営がもとめられてくるのか、情が縮小するとなれば、淘汰は避けられません。弱肉強食が起こらざるを得ない。そのためには、「70%エコノミー」を想定した経営を覚悟する必要があります。ここで取り組むべき四つのキーワードを、私は「SPGH戦略」と呼んでいます。
(以下、SPGH戦略の部分についての解説のみ掲載)
■「サバイバル(Survival)戦略」
 需要が縮小しますから、身の丈も縮めるしかありません。人員を適正化、ダウンサイズすることです。コストを変動化し、身軽な経営にする。改めて事業のコアを見直すことも必要です。その上で目先のビジネスでしっかり稼ぐ。何より内容に目を向けることです。
■「生産性(Productivity)戦略」
 今回の危機で改めて露呈したことは、会社がいかに「不要不急」なものだらけだったのか、ということでした。不要な出張、不要な残業、不要な書類……。デジタル化、オンライン化、リモートワークの実現で、それらすべてが不要なものだとわかってしまった。ただし、リモートワークを定借させるには、きちんとしたオンライン環境があり、そのためにはデジタル化が必要だったという事もあきらかになりました。デジタル化なくして、オンラインもリモートもない、ということです。だから今こそ、本格的にデジタル化に踏み出すべきです。昔のような高額な巨大システムはいりません。クラウドとスマホでデジタルデジタル化はすぐ簡単にできる。これをもっと推し進める必要があります。
■「成長(Growth)戦略」
 現行事業でサバイバルしながら、一方で新規事業の探索を強化する。新たな成長エンジンの確立です。平成の時代にうまくいかなかったのは、新規事業を検討しましょうと検討ばかりしていたからです。これからやるべきは、アジャイル方式です。面白いアイデアがあったら、すぐにやってみる。片っ端から新しいものにチャレンジしてみる。社長直轄の組織を作るのもいいでしょう。別会社にするのもいい。駄目ならすぐ畳む。すぐに次に向かう。とにかくどんどんやっていくこと。たくさんトライしてみることです。加えて、M&Aを活用して既存事業を強化したり、新分野への参入も狙う。時間を買うんです。弱肉強食で苦しい会社も出てきますからM&Aのチャンスは拡大します。
■「人材(Human Resource)戦略」
 平成時代の失敗は、誰も新しいレールを敷こうとしなかったことでした。「誰かが敷いたレールの上を走る」人材ばかりになってしまった。企業の規模を問わず、これから必要になってくるのは。「新たなレールを敷くことができる」人材です。この人材が足りない。とくに中小企業では不足しています。だから、外部からの積極登用を進める必要があります。新しい血、異質の人材を入れるということです。そのためには、外部人材を処遇する新たな制度や仕組みを整える必要があるでしょう。中小企業だから、地方の企業だから大企業のより「報酬は低く、などというのは思い込みです。(以下略)

 (株)シナ・コーポレーション遠藤 功氏は、早稲田大学大学院教授です。株式会社良品計画他数社の社外取締役になっています。『コロナ後に生き残る会社 食える仕事 稼げる働き方』(発行:東洋経済新報社)。という本を出版していることがネットで検索してわかりました。
 ドラッカーの『創造する経営者』を読み、ポストコロナ時代の戦略は、事業の分析から始める必要があることがわかり、会計事務所として「財務データと製品市場分析を組み合わせた経営戦略分析」を関与先への提案に着手しています。この記事の「SPGH戦略」は、『創造する経営者』P18にある現状認識のポイント①第一に「今日の事業の成果をあげる」ことに関し、アンバランスが生じていないかを確認すること、②第二に「明日のために新しい事業を開拓する」タイミングを認識すること。重要なのは、「将来の見通し」の判断。につながります。

『コトラーのマーケティング講義』フィリップ・コトラー著 木村 達也 監訳・有賀 裕子 訳

ダイヤモンド社発行 2004年10月7日第1刷発行

(P43)
061 マーケティングはニーズに応えるだけですか?それとも、進んでニーズを生み出すのでしょうか?
 マーケティングはニーズを創造しません。ニーズを前提にして、それを満たしそうな具体的な製品やサービスについて、欲求を引き出すのです。生まれながらにして、ソニーの(ウォークマン)を欲しいと考えていた人などいませんよね。ですが、音楽や言葉などによる刺激へのニーズはあるでしょう。基本的なニーズを満たすための1つの方法として、たとえばソニーの(ウォークマン)の欲求を生みだすのが、マーケティングなのです。さらに言えば、買い手は(ウォークマン)そのものを買うというよりは、(ウォークマン)が約束するサービスを期待して、購入にいたるのです。
 もちろん、ソニー以外のブランドを選ぶ買い手もいるでしょう。そこで各メーカーは、自社ブランドの魅力度を高めようと努力します。そのためには設計やデザインの改良、機能の追加、サービス向上、低価格などを実現することになり、そのそれぞれが異なる買い手を惹きつけます。各社は、ターゲット市場を明確にして、その市場に属する人々により強くアピールするように、製品を設計する必要があります。
 ニーズにこたえるよりも、むしろ問題を解決するのが、マーケティングの役割です。ニーズや欲求が満たされていなければ、そこには問題があります。ごく、一般的なニーズならすでに満たされていますが、他のニーズは放置されているのではないしょうか。

 ドラッカーの『創造する経営者』P160「四つの分析から、企業のマネジメントは、その経済的な機能の遂行に必要とされる自らの事業に対する理解を得ることができる」と言っています。四つの分析とは
➀業績をもたらす領域についての分析、利益と資産についての分析
➁コストセンターとコスト構造についての分析
➂マーケティング分析
➃知識分析
であり、➂にマーケティング分析が出てくる意味が理解できなかったのですが、『コトラーのマーケティング講義』を読み、つながりが少しわかりました。このプロセスで戦略やKPIを特定することにチャレンジします。