今日の1ページ

「戦略参謀の仕事」稲田 将人 著

ダイヤモンド社発行 2010年5月30日第1刷発行

(P251 ある会社のⅤ字回復のためのシナリオ作り)
 他人が策定した戦略を渡されて「ではあとは、御社で実践してください」というのは、確かに言われた当人からすれば、酷な話です。たとえてみれば、トランペットやサックス、ギター等を初めて手にした人に、音の出し方、譜面の読み方、やっていいこと、悪いことを座学で教えたうえで、楽器を持たせて、いきなりステージに立たせる状態に近いと思います。
 かつて、ある会社のV時回復のためのシナリオ作りを依頼された際に、社長から、
「うちは実行力がありますから、戦略だけあれば絶対大丈夫です」
と強く言われ、戦略立案の指導だけを請け負ったことがあります。しかし、その後、一部の側近幹部の「思惑」が働き、本筋とは関係のないところでの抵抗が起き、改革はスタートさえしませんでした。以来、研修の目的以外では、戦略立案だけの前提で請け負うことは、原則的にしないようにしています。
 戦略立案が必要なほとんどの企業は、PDCAを適切に回す実践力の方に問題があります。「楽器の効果的な演奏の仕方、ステージでの立ち居振る舞い、顧客とのやり取りの仕方」までのディレクションを請け負い、改革の起動と初めの段階での舵取りを共に行う……。
 このようなプロジェクトの請け負い方をするようにしています。

 著者は、元マッキンゼーのコンサルタント。「戦略参謀」「経営参謀」「PDCAプロフェッショナル」等の著書があります、P77に、「参謀とは、会社の将来も見据えたうえで、事業最適化を進める視点で自ら考え、自ら動いて社長業をカバーする役割」という定義が書いてありました。
 これまで、「戦略参謀」というAccessの商品を作り普及してきましたが、「フレームワークをつなぎ合わせることにより課題解決ができるという提案」をしているのではありません。全面Cloudになって、商品名も「戦略ナビCloud」に変えました。「戦略ナビCloud」はPDCAを適切に回す実践的なツールです。ユーザー会「軍師の会」の皆さんと、現場力を培います。

「チーム・ファシリテーション 最強の組織をつくる12のステップ」堀 公俊著

朝日新聞出版 2010年5月30日第1刷発行

(P172 学習のサイクルを回そう)
 あわせて、「やれやれ終わった……」とやりっぱなしにせずに、自分たちの行動を振り返ることが大切です。それも、なるべく間をおかず、鉄が熱いうちに。
 活性化されたチームには、自律的な問題解決だけでなく、自律的な学習が求められます。経験を学習に結びつけてこそ、持続的に成長できるチームになります。振り返りはそのために欠かせないステージで有り、あらかじめその時間や場所をチーム活動の中に組み込んで置かなければいけません。
 「甲子園で優勝するのは一番強いチームではなく、試合の度に成長していくチームだ」と言われています。まったくその通りで、チームが最初から強いわけでも素晴らしい能力を備えているわけでもありません。悪戦苦闘の中から、新たなスキルを身につけ、互いの能力を高め合い、段々強くなっていくのです。その鍵を握るのが振り返りと言う訳です。
 やり方はいろいろあります。例えば、プラス/デルタ(良い点と悪い点を出すやり方)や、KPT(Keep Problem Tryを挙げていく方法)等がポピュラーなところです。ところが、これはあくまでも簡便な方法であり、下手をすると単なるダメ出しや反省会になる恐れがあります。
 せっかく苦労して活動を進めてきたのですから、少し時間をかけてでも、本当の振り返りをして、深い学習を導き出しましょう。そのために、体験学習の循環家庭を紹介しておきます(津村俊充/石田裕久編「ファシリテーター・トレーニング」ナカニシヤ出版)
➀体験する
チームが結成されてから成果を得るまで、その間に起こったことはすべて体験です。中でもみんなで困難な場をくぐり抜けた共同体験は、学習のための格好の材料を提供してくれます。
➁指摘する(会話)
体験を振り返って、何があったか、気づいたことや感じたことを各自で出し合っていきます。自己開示とフィードバックを使って学習の素材を集めていくわけです。
➂分析する(対話)
その素材を元に、「なぜ、そうなったのか」「なぜ、そう感じたのか」。原因やメカニズムをみんなで分析していきます。そうして、そこでおこったことの意味を見つけていきます。
➃仮説(概念)化する(議論)
最後は、分析から得たものから、「こういうときは、こうすれば良い」と言った行動原理、成功法則、教訓などの仮説を発見します。それを次の体験に生かしていく訳です。

 振り返りは、この順番でやっていかないと良い学びが得られません。私達(特に大人)はとすると何か体験した後ですぐに「分かった、次はこうすればいいんだ」と安易に結論を出しがちです。①から④へと一足飛びに飛んでしまうのです。

 この本は、何度か読み返し付箋がいっぱいついています。今回は、本の帯にある「たかが話し合い、されど話し合い。毎週のチーム会議で組織力を飛躍的にアップさせる」という言葉にひかれ、また読みました。今日の1ページには何度か登場しています。PDCAを加速するのはKPT、書きこまれた内容を確認し、深い議論もせず「こうすればいい」と決めつけていました。変わるためには、体験→会話→対話→議論が必要と改めてわかりました。

「吉越式会議」吉越 浩一郎 著

講談社発行 2009年11月30日第一刷

吉越式会議」吉越浩一郎著(P59 プライオリティを個人視点から、会社視点に変える)

 実は会社として取り組んでほしいのは、重要度が高くて、緊急度が低い③であることは、とりわけ経営者や管理者の方々ならお分かりいただけるでしょう。そして、私がこれまでにも触れてきた会社の「課題」や根の深い「問題」も実はここにたくさん眠っています。
 ちなみに、重要度も低く緊急度も低い④は、処理できるに越したことはありませんが、忙しくて仕組みが③によってできてこないうちは、優先的にネグっていい対象です。それ以上忙殺されないよう、意図的に④を捨ててかかるのです。将来③の仕事によって仕組みができ、時間に余裕が生まれてきたら、その時に④の仕事にとりかかればいいのです。
 しかし、社員が自分で仕事のプライオリティを決めるなら、間違いなく緊急度から選んでしまうのです。社員とはそういうものです。忙しい日々を送っている社員は、①②の仕事こそ、優先度の高い仕事、最低でも終わらせておかなければいけない仕事だと思ってしまうのです。
 そのことばかりに頭が行ってしまうということです。そして多くの場合、①②の仕事を終えてから、ようやく③④の仕事をしようとする。ところが、ここでもまたやっかいなことが起こります。
 本来なら、重要度の大きな仕事③から手をつけてほしいにもかかわらず、手をつけられるのは、重要度の低い④からということが多いのです。なぜかと言えば、その方が簡単だから、やりやすいからです。

 P62では「社員に対して、個人のプライオリティではなく、会社のプライオリティでやるべき仕事を選んでもらう。プライオリティを個人視点から、会社視点に変える。これこそが、実は会議の真の目的なのです。」とあります。プライオリティとは、優先権や優先順位という意味。バランススコアカードのテーマは「ビジョンにもとづく戦略の実行」web軍師を使った会議は、吉越式の19年連続して増収増益を達成することができた会議のやり方にもつながっています。

「ストーリーブランド戦略」ドナルド・ミラー著 力丸 洋子=訳

ダイヤモンド社 2018年4月26日第1版第1刷発行

「ストーリーブランド戦略」ドナルド・ミラー著(P18 人間の脳はわかりやすさを好み、混乱を嫌う)
 多くの企業は、「何を伝えるか」をはっきり理解した後で、2倍、3倍さらには4倍以上の収益を上げるようになっている。
 個人経営の事業であれ、大企業であれ「ストーリーブランド・フレームワーク」は同じように効果を発揮する。米国企業だろうと、日本やアフリカの企業だろうと、民族を問わず、影響力は変わらない。人間の脳はわかりやすさを好み、混乱を嫌うからだ。
 実のところ、私たちは単に商品を市場に出す競争をしているのではない。“自社の商品が消費者にとって必要である理由を伝える競争をしている”のだ、最高の商品を扱っていたとしても、競合他社のほうがわかりやすく情報を伝えたとすれば、質の劣る商品に負けることがある。
 あなたが伝えるべきことは何だろう?すぐ口にできるだろうか。簡潔で相手の関心を引く、何度も繰り返せるメッセージだろうか。従業員全員がそれを知っていて、効果的な伝え方をしているだろうか。親友社員が入ってきたときに、見込み客に対して会社の商品とそれを購入すべき理由を説明する方法を教えているだろうか。
 消費者がウェブサイトを開いてから5秒以内に会社の強みがわからないために、何件の売上を逃しているだろう。

 私は、「社長のためのビジネス洋書」をダイレクト出版から定期購読しています。この本に書いてあることは全て心当たりがあるので、一気に読み、「ストーリーブランド・フレームワークと7つの要素」の要点をまとめました。これから本を参考にして「成功する結末」を考え、課題その1(P198)「会社の紹介文を作る」にとりかかります。chapter13(P176)に、「綱領(ミッションステートメント)」は企業にとって見果てぬ夢のようなものだ…使命を物語に変えるには、綱領では役不足だと書いてあります。「成功する結末」を考え、「会社の一言紹介文」を作ることで見果てぬ夢は現実の行動とつながります。戦略ナビCloudをわかりやすい商品にすることを目指してがんばります。