今日の1ページ

「チーム・ファシリテーション 最強の組織をつくる12のステップ」堀 公俊著

朝日新聞出版 2010年5月30日第1刷発行

(P172 学習のサイクルを回そう)
 あわせて、「やれやれ終わった……」とやりっぱなしにせずに、自分たちの行動を振り返ることが大切です。それも、なるべく間をおかず、鉄が熱いうちに。
 活性化されたチームには、自律的な問題解決だけでなく、自律的な学習が求められます。経験を学習に結びつけてこそ、持続的に成長できるチームになります。振り返りはそのために欠かせないステージで有り、あらかじめその時間や場所をチーム活動の中に組み込んで置かなければいけません。
 「甲子園で優勝するのは一番強いチームではなく、試合の度に成長していくチームだ」と言われています。まったくその通りで、チームが最初から強いわけでも素晴らしい能力を備えているわけでもありません。悪戦苦闘の中から、新たなスキルを身につけ、互いの能力を高め合い、段々強くなっていくのです。その鍵を握るのが振り返りと言う訳です。
 やり方はいろいろあります。例えば、プラス/デルタ(良い点と悪い点を出すやり方)や、KPT(Keep Problem Tryを挙げていく方法)等がポピュラーなところです。ところが、これはあくまでも簡便な方法であり、下手をすると単なるダメ出しや反省会になる恐れがあります。
 せっかく苦労して活動を進めてきたのですから、少し時間をかけてでも、本当の振り返りをして、深い学習を導き出しましょう。そのために、体験学習の循環家庭を紹介しておきます(津村俊充/石田裕久編「ファシリテーター・トレーニング」ナカニシヤ出版)
➀体験する
チームが結成されてから成果を得るまで、その間に起こったことはすべて体験です。中でもみんなで困難な場をくぐり抜けた共同体験は、学習のための格好の材料を提供してくれます。
➁指摘する(会話)
体験を振り返って、何があったか、気づいたことや感じたことを各自で出し合っていきます。自己開示とフィードバックを使って学習の素材を集めていくわけです。
➂分析する(対話)
その素材を元に、「なぜ、そうなったのか」「なぜ、そう感じたのか」。原因やメカニズムをみんなで分析していきます。そうして、そこでおこったことの意味を見つけていきます。
➃仮説(概念)化する(議論)
最後は、分析から得たものから、「こういうときは、こうすれば良い」と言った行動原理、成功法則、教訓などの仮説を発見します。それを次の体験に生かしていく訳です。

 振り返りは、この順番でやっていかないと良い学びが得られません。私達(特に大人)はとすると何か体験した後ですぐに「分かった、次はこうすればいいんだ」と安易に結論を出しがちです。①から④へと一足飛びに飛んでしまうのです。

 この本は、何度か読み返し付箋がいっぱいついています。今回は、本の帯にある「たかが話し合い、されど話し合い。毎週のチーム会議で組織力を飛躍的にアップさせる」という言葉にひかれ、また読みました。今日の1ページには何度か登場しています。PDCAを加速するのはKPT、書きこまれた内容を確認し、深い議論もせず「こうすればいい」と決めつけていました。変わるためには、体験→会話→対話→議論が必要と改めてわかりました。