今日の1ページ

『5G ACCOUNTING 最速で利益10倍を目指す経営バイブル』税理士 鈴木 克欣 岡本 辰徳 著

株式会社幻冬舎メディアコンサルティング 2020年6月22日第1刷発行 


クラウド型AI会計システムはここが違う P51
 第5世代の会計ツール、それを私たちは「クラウド型AI会計システム」と名付けました。クラウド型AI会計システムの登場により、中小企業の会計の仕組みは大きく変わろうとしています。
 クラウド型AI会計システムは、過去会計のために作成されたあらゆる会計ソフトのデータを標準化・一元化して未来予測会計へ導くための道具であり、次のような特徴があります。
①財務分析
 第1の特徴は、企業の財務分析における精度(質)と集計スピード、そして分析頻度です。
 人間における健康診断と同じで企業の財務分析は、経営上の問題点を早期に発見し、早期に対策を講じるために不可欠です。そのためには毎月、基本的な改易データの取りまとめを行うことが欠かせません。
 一般に企業の会計データをまとめる方法には、「記帳代行」と「自計」があります。「記帳代行」とは、帳票類などを会計事務所に渡して、仕訳から試算表作成までのすべてを行ってもらうものです。それに対し、「自計」とは、仕訳などは社内の経理担当者が行い、そのチェックと試算表の作成を会計事務所にまかせるものです。
 中小企業の会計業務として理想なのは「自計」ですが、社内の経理担当者のレベルによって精度に大きな差が生まれます。
 一方、「記帳代行」についても実際には会計事務所によってチェック内容や試算表の質に差があるうえに、試算表が出てくるまでに時間がかかるケースが少なくありません。
 この点において、クラウド型AI会計システムなら、AIを使って入力時のミスのチェックや助言を自動的に行い、入力データもクラウドで行うため、いつでも、どこでも、誰でも作業することができます。
 また、集計の途中で金額の中身を確認したい時には、見たい箇所をクリックするだけで簡単に確認できるクイックドリル機能などもあります。クイックドリル機能を使うと、わざわざ会計ソフトを起動する必要がありません。
 そもそも、クラウド型AI会計システムには、
 ・自己資本比率
 ・売上高総利益率(粗利率)
 ・流動比率
 ・労働分配率
 ・総資本利益率
 ・債務償還年数
など、50種類近い財務分析指標が備えられており、精緻な分析が可能です。さらに一般的な財務分析は年1回、決算書をベースに行うだけですが、クラウド型AI会計システムでは、これを毎月行える仕組みがあります。
 財務分析はなぜ1回しか行われないのか、なぜ1回しか行えないのかというと、そこには単純な理由があります。
(以下略)

 この本は、今年6月ぐらいだったと思いますが、クラウド型AI会計システム“BIXID”を開発している(進化しているので“している”と書きました)株式会社YKプランニングから贈っていただきました。昨年11月ぐらいに会計事務所博覧会を見学し、これから会計事務所はAI・RPAの時代、大きく変わるという気づきがあり、現状とあるべき姿のギャップにもんもんとしている時期でした。本の内容は、「やりたいこと」の先にある内容で気持ちが沈みかけた記憶があります。
最近、CXやDXという言葉をよく聞きます。2020年はコロナ禍で会計事務所として“これから”どのように進めばいいのか大いに悩んだ1年でした。しかし、年末になって「BSCとクラウド」にこだわり続けてきた成果で「やるべきこと」が見えてきました。改めてこの本を読み、今年1年の活動が無駄でなかったことが確信できました。
 勘違いと笑われないように…2021年は取り組んでいる事例で「答え」を出します。「やりたいこと」ではなく「やるべきこと」に集中し、なぜこの本を読み直したのか…「答え」がでてから今日の1ページに書くことにします。コロナ禍ですが、ワクワクして年末年始を迎えます。来年もよろしくお願いします。

『マーケティング・ジャーニー』神田 昌典 著

日経BP/日本経済新聞社出版部発行 2020年4月8日第1刷 P160


あなたが嫌がっている仕事が、社会を変える P160
 この仕組みを描いたのは、冒頭で紹介した高橋博志さんである。高橋さんは、青森県三沢市でリフォーム用木材の通信販売を手がける株式会社高橋の社長であり、青森県バイオマスエネルギー推進協議会の理事長でもある。
 立ち会がったのは、森林に対する危機感からだ。自身も祖父から森林を相続して、森を守る難しさを痛感していた。このままでは日本の豊かな森林が失われ、安価な輸入木材ばかりが流通することになりかねない。
 その打開策としていきついたのが、間伐材でペレットを作ることだ。これなら森林の荒廃を防ぎながらお金を稼げる。
 ただ、ネックは、間伐する人がいないことだ。プロのきこりに頼むと採算がとれない。
 行き詰った高橋さんは悩んだ末、突破口を見つけ出す。それが、「きこり」講座だ。木こり体験をリクリエーション化すれば、受講者は楽しめるし、こちらも安く間伐できると考えたのである。
 反響は高橋さんに予想以上。2013年に1回目の受講者を募ると、定員20名の枠になんと500人以上が応募してきた。
 その後も「木こり講座」は継続しており、東京や大阪、福岡等全国から人が集まっている。ここで得た技術を生かし、自分の地元の森林を整備する人も出てきている。

 この社会変革は、「時間に合わない」と思われていた低収入の、誰でもできる仕事を、学び化、遊び化したことから、すべてが始まった。
 同様の変革を起こすには、仕事にすると人が嫌がって担い手が集まらない作業をエンターテメント化、遊び化するという視点を持ってみよう。
 前項でも例に挙げたが、例えば介護はどうだろうか。心身共にタフさが必要とされる仕事であり、初心者では1日やり遂げるだけでもしんどいが、1日2時間程度手伝えるように切り分けることで、シニアになってから空いた時間で取り組める。「人に喜ばれる仕事」になる可能性がある。
 介護業務を始めるための入門講座や、自分自身が要介護にならないための健康講座などをセットすれば、事業所側もいくばくかのお金が入るようになるだろう。
 あなたが嫌がっている仕事は、新たな市場を創造するどころか、社会を変える最高の遊びになる可能性がある。

 この本は書店で買いました。著者の神田昌典(かんだまさのり)氏は、経営コンサルタント/作家として活動し、マーケティング界を引っ張る存在として知られています。この本の「おわりに」P218に「実は、この本は次世代を担う中学生、高校生に読んでもらうことを強く意識した、ということだ」と書いてありました。高橋氏の他に、世界で初めて無農薬・無堆肥のリンゴの栽培をした木村秋則氏も紹介されています。読みやすい本です。
 立ち読みして、P19に「ビジネスモデルを構築するまでの自分の成長プロセス」という図に惹かれて買いました。コロナ禍で思考が「壁」にぶつかっていたので、読んで、視点を変えるきっかけになりました。

『渋沢栄一とドラッカー 未来創造の方法論』國定 克則 著

株式会社KADOKAWA 2020年11月初版発行


(まえがき)P5 6行目~P6 10行目まで
ビジネスの分野で、本質を理解するために学ぶべきとして挙げられる人の中に、必ずでてくるのがピータードラッカー(1909~2005)だ。ドラッカーはいつも物事の全体像とその本質を示してくれる。
 彼は「マネジメントの発明者」として、マネジメントの全体像とその本質を整理した人だ。世の中にはドラッカーは古い人だと思っている人もいるようだが、彼は「知の巨人」と呼ばれ、社会の生態を見続けた人である。ドラッカーは、マネジメントの本質を理解しただけでなく、変化の本質、未来の本質、そしてその本質から導き出される未来創造の本質についても整理してくれている。
 そして、そのドラッカーがビジネスの本質を理解していた人物として高く評価していたのが、渋沢栄一(1840~1931)である。「資本主義の父」とも呼ばれている。
 この二人には共通点が多い。ビジネスに対する考え方も似ているし、変化の時代に大きな成果をあげたという点でも似ている。共に物事の本質を見極めていた人たちなのだ。
 さらに、ドラッカーは渋沢栄一を高く評価していただけでなく、日本という国に惚れていた。なぜなら、ドラッカーが大切にしていた「本質を見極める」という能力に秀でている民族が日本人だったからだ。
 ドラッカーは、日本という国は他の国とは違う独特な特徴を持っていると言う。その日本が伝統的に持っている特徴の説明は本文に譲るが、その特徴が大きな変化の時代に未来を創っていくための重要な武器になるのだ。
 本書は、大きく3つのテーマに分かれている。この3つはそれぞれに関連している。共通することは「全体像とその本質」である。そして、この3つを理解していただくことが、大きな変化の時代に未来を切り開くための手がかりになると思う。
1.渋沢栄一とドラッカーの未来創造
2.ドラッカーに学ぶ未来創造の考え方と方法論
3.日本人の根底に流れる考え方

 この本は、(まえがき)によれば、新型コロナウイルス感染症が発生する前から書き始めたものです。テーマは「未来創造の方法論」、本の帯には、“正解のない時代にビジネスと向き合った偉大な二人から未来を切り開く方法と心構えを学ぶ“とあります。
著者の國貞克則氏は、米国クレアモント大学、ピーター・ドラッカー経営大学院でMBAを取得しています。ドラッカーの『創造する経営者』にある4つの分析で事業を理解するに出てくる「知識分析」の理解できずいましたが、わかりやすい説明があり助かりました。渋沢栄一が紙幣の顔になることの意味も分かり「希望」が湧いてきました。すばらしい本です。