今日の1ページ

『最新農業の動向と仕組みがよ~くわかる本』中村 恵二/山口 大樹 著

株式会社秀和システム発行 2018年4月1日第1版第1刷 2019年1月20日第1版第2刷

(P94)
六次産業化の基本
六次産業化は、今村奈良臣・東京大学名誉教授が提唱した農業論で、「一次産業×二次産業×三次産業=六次産業」という形で、農林漁業者が、製造業やサービス産業と連携していくことの必要性を説いています。
【1×2×3=】
 最初は「1+2+3=6」だったものを「1×2×3=6」と掛け算にしたことについて、今村教授は農地や農業がなくなれば、つまりになれば、六次産業そのものが消え失せてしまうことや掛け算にすることによって、農業、加工、販売・情報の各部門の連携を強化し、付加価値や所得を増やし、基本である農業部門の所得を一段と増やそうということにあります。そして、農業部門はもちろん、加工部門あるいは販売・流通部門さらにはグリーン・ツーズムなどの観光で新規に就業や雇用の場を拡げ、所得の増大を図りつつ、六次産業の拡大再生産の道を切り拓こうという理由からだと述べています。
【六次産業化がめざす基本課題】
 今村教授は農業の六次産業化を推進し、成果を上げ、成功への道を切り拓いていくための基本課題として、五つの項目を挙げています。
 第一の課題は、消費者に喜ばれ愛されるものを供給することを通して、販路の確保を着実に伸ばしつつ、農山漁村地域の所得と雇用の場を増やし、それを通して農山漁村の活力をとりもどすことであるとしています。
 二つ目は、様々な農畜産物(水産物も含む、以下同じ)を加工し、販売するにあたり、安全・安心.・健康・新鮮・個性などをキーワードとし、消費者に信頼される食料品などを供給することです。
【都市と農村の交流など】
 さらに、三つ目の課題として、企業性を追求し、収益ならびに所得の確保を図ることを掲げています。農畜産物の生産や加工、食料品の製造に当たっては、あくまでも企業性を追求し、可能な限り生産性を高め、コストの低減をはかり、競争条件の厳しい中で収益ならびに所得の確保を図ることを課題としています。
 四つ目は、六次化を新たなビジネスの追求にのみ終わるのではなく、地域環境の維持・保全・創造、特に緑資源や水資源への配慮、美しい農村景観の創造などに努めつつ、都市住民の農村へのアクセスへの道、新しい時代のグリーン・ツーリズム注1 の道を切り拓くことに努めることとし、最後の五つ目としては、農業・農村の持つ教育力に着目し、農産物や加工食料品の販売を通し、都市と農村の交流を通し、先人の培った知恵や英知の蓄積、、つまりムラの命を、都市とりわけ、次代を担う若い世代に吹き込み、新しい姿を創りあげることを掲げています。

 「農業法人」とは、法人形態によって農業を営む法人の総称。農業生産法人とは違います。法人形態は「会社法人」と「農事組合法人」に分けられます。説明はここまでにして……最近農業法人の相談を受け、六次産業化という言葉が気になりこの本を買いました。農業と2次産業や3次産業を組み合わせることにより、付加価値を上げる取り組みとわかりましたが、生産する農家がいなければ成り立たない仕組みです。この本にあるように農地や農家がなくなれば六次産業そのものが消えてしまいます。これを機会に「農家が儲かる仕組み」に取り組んでいます。

注1グリーンツーリズム 農山漁村地域において自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動