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『KPI大全 重要経営指標100の読み方&使い方』著者グロービス 執筆者 嶋田 毅 発行者 駒橋憲一

発行所東洋経済新聞社 2020年9月10日発行 P30

「KPI経営の課題」
➃KPI至上主義に陥らない
 KPIを用いた経営は効果的ですが、KPIが過度に編重されるようになるのも問題です。例えば企業において最上の行動指針になるのは経営理念ですが、通常そこには数字が入らないことが多いでしょう。ビジョンや戦略には数字が入ることも多いですが、その場合も「○○業界ではナンバーワン」といった表現になることが多いものです。つまり、KPIは目的となるケースがゼロではないものの、やはり手段としての意味合いが大きいのです。
 何事にも言えることですが、手段の目的化や、手段が目的を振り回すことはあまり好ましいことではありません。例えば、新聞社が、社会目的を忘れて部数のみにこだわって大衆に迎合しすぎた紙面を作ったり、内容をおろそかにしてはやはり大問題です(その他にも営業面での「押し紙」の問題なども長く指摘されています)。テレビの民放も、視聴率は確かに大事なKPIですが、それに振り回されすぎると、人々の支持を失ってしまいます。より。身近な例でも、減量をしすぎて健康を損ねるようでは本末転倒です。常に、何のためにKPIを想定してマネジメントを行っているかという原点に立ち返ることが必要です。

 数字と言うものは、往々にして一人歩きしたり、金科玉条のように最終目的化することが少なくありません。みなにとってわかりやすいものであるがゆえに、あるいは他社と比較して優越感や劣等感を抱きやすいのです。そうした数字の持つマイナスの紅葉も踏まえたうえで、KPIというものと付き合っていくことが必要です。

 KPIを用いたマネジメントには限界があるという理解も必要です。例えば、確かに特定のKPIに評価報酬を紐づければ、人々をそのKPI達成に向けて動機付けることは可能です。しかし、それだけに頼った経営は非常にもろいものです。

 動機づけは確かに評価を活用して行うこともできますが、やはり本人の内発的動機が必要です。そうしたことを忘れて数字だけで人を動かそうとすると、非常にぎすぎすした組織になってしまうのです。また、戦術したように、評価に結び付く特定のKPIを高めるために、本来の企業の目標にそぐわないような行動をちってしまう可能性もあるのです。

 KPIは切れる刀だからこそ取扱いには注意が必要だ、ということは強く認識しておくべきでしょう。

 本のP30に、KPIを用いた経営は「適切に行えば」非常に効果的なのですが、時にはかえって費用対効果を損ねたり、意図せぬ結果を招くこともあります。ここでいくつかの運用上のポイントをご紹介しましょう。と説明があり、➀KPIのバランスをとる、➁KPIを適度にブレークダウンする、➂KPIは正確さと鮮度にこだわる、➃KPI至上主義に陥らないという区分で書いてあります。
 経営理念は最上の行動指針、KPIはそれを達成するための手段としての意味合いが大きいという「大切なこと」に気づき、➃を紹介しました。


i不都合な状況になるように仕向ける、計略におとしいれる、といった意味の表現。

『経営者の条件』著者 P.F.ドラッカー 訳者 上田 惇生

発行所ダイヤモンド社 2006年11月9日 第1刷発行 2013年3月13日第2冊発行 P77

第3章どのような貢献ができるか
貢献へのコミットメント P81
 「どのような貢献ができているか」を自問しなければ、目標を低く設定するばかりでなく、間違った目標を設定する。何よりも自ら行うべき貢献を狭く設定する。
 なすべき貢献には、いくつかの種類がある。あらゆる組織が三つの種類における成果を必要とする。すなわち、直接の成果、価値への取組み、人材の育成である。これらすべてにおいて成果をあげなければ、組織は腐りやがて死ぬ。したがって、この三つの領域における貢献をあらゆる仕事に組み込んでおかなければならない。もちろんそれぞれの重要度は組織によって、さらには一人ひとりの人によって大きく異なる。
 第一の領域である直接の成果については、はっきり誰にでもわかる。企業においては売上や利益など経営上の業績である。病院においては患者の治癒率である。もちろん直接的な成果と言っても、銀行の証券代行部のように誰にも明白なものばかりとは限らない。だが直接的な成果が何であるべきかが混乱している状態では成果は期待しえない。

(略…例として、直接的な成果が三つあり、板挟みになっているイギリスの国営航空会社の事例)

 直接的な成果は常に重要である。組織を活かす上でカロリーの役割を果たす。一方組織には価値への取組みが必要である。これは、ビタミンやミネラルの役割にあたる。組織は方向性をもたなければならない。さもなければ混乱、麻痺し、破壊される。
 第二の領域にある価値への取組みは、技術面でリーダーシップを獲得することである場合もあるし、シアーズ・ローバックのようにアメリカの一般家庭のために最も安く最も品質の良い財やサービスを見つけだす場合もある。もちろん価値への取組みもまた、直接的な成果と同じように明白なものばかりとは限らない。

(略…例として、根本的に相いれない二つの価値観に身を裂かれてきたアメリカ農務省の事例)

 第三の領域が人材の育成である。組織は個としての生身の人間の限界を乗り越える手段である。したがって、自ら存続させえない組織は失敗である。今日、明日のマネジメントにあたるべき人間を準備しなければならない。人的資源を更新していかなければならない。確実に高度化していかなければならない。
 そして次の世代は、現在の世代が刻苦と献身によって達成したものを当然のこととし、さらにその次の世代にとって当然となるべき新しい記録をつくっていかなければならない。
 ビジョンや能力や業績において、今日の水準を維持しているだけの組織は適応能力を失ったと言うべきである。人間社会において唯一確実なものは変化である。自らを変革できない組織は明日の変化に生き残ることはできない。
 貢献に焦点を合わせるということは人材を育成するということである。人は課された要求水準に適応する。貢献に照準を合わせる者はともに働くすべての人間の水準を高める。

(略……例として病院の看護師の「それは患者さんにとって一番良いことでしょうか」というビジョンが病院全体に浸透した例)

 貢献に焦点を合わせるということは、責任をもって成果をあげるということである。貢献に焦点を合わせることなくしては、やがて自らをごまかし、組織を壊し、ともに働く人たちを欺くことになる。

 上記について『実践するドラッカー利益とは何か』(上田惇生 監修P96)では下記のように解説しています。

 組織には、三つの領域の成果が必要です。「直接の成果」は、売上や利益、顧客数など一般に私たちが成果と呼んでいるものです。これらは短期的にも測定可能です。とりわけ本書の重要テーマである利益は、企業の標準的な評価尺度として不可欠の存在です。
「価値への取組み」と「人材育成」は長期的に取組み、継続的に評価していくものです。価値への取組みは、顧客価値の継続的な想像を意味しています。顧客が支持してくれる要因を突き止め、継続的にその価値を高めていくことです。組織における最も重要な成果です。

 「マネジメント・スコアカード」体系化の試み(淑徳大学 藤島秀紀氏i)という論文をネットで見つけました。ドラッカーがコンサルティングに考案したと言われる理論を体系化し、紹介しています。論文には「ドラッカーのマネジメント理論が、R.S.カプランとD.P.ノートンが開発したと言われるBSCに影響を与えていることが容易に想像されよう。事実、BSCの体系にはとくに『現代の経営』の中核概念が随所に取り入れられているのである」という記載があります。
 上田惇生氏訳の『現代の経営』に、CSR、バランスト・スコアカード、職務主義と役割主義の差異などの考え方もすでに記載されているという文面があったのを思い出しました。現代の経営が発刊されたのは1950年代。BSCが発表されたのは1992年です。
 中小企業が外部環境の変化に対応するためには、現状を分析、評価し業績をもたらす領域に経営資源を集中する取組みが必要。これまで取り組んできたBSCとドラッカーの教えをつなぎたいと考え『経営者に贈る5つの質問』4の「我々にとっての成果は何か」(P55)をテーマに読んでいます。今回は、ミッションとビジョンの関係、ドラッカーの「マネジメント・スコアカード」がBSC開発のもとになっていることを知りました。


iドラッカー学会理事、立命館アジア太平洋大学初代学長,立命館大学経済学部教授.京都 大学大学院修了(経済学博士).著書に『大学のイノベーション』(東信堂),『ドラッカー再発見』法律文化社,等

『SWOT分析を活用した根拠ある経営計画書事例集』嶋田利広・篠崎啓嗣・松本一郎・田中博之・大山俊郎著

株式会社マネジメント社発行 2020年2月4日第1刷発行 2020年7月25日第2刷発行 P16

(2)「非財務項目」中心のSWOT分析
 ①SWOT分析でわかること
 SWOT分析という手法は、数十年前にアメリカでその理論の原型ができたもので、すでに日本全国で「経営戦略立案ツール」として知られ、ある程度普及している手法である。
□SWOT分析とは—

 そして、これら4つの要素を掛け合わせることを「クロス」分析という。
「可能性あるニッチ市場やニッチニーズである機会」に、そこに使える「物理的な経営資源やノウハウ、経験などの強み」を掛け合わせて、その企業独自の積極的に攻める・投資する戦略をあぶりだすことである。
 このSWOT分析(クロス分析を含む)をすることで下記内容の実現や具体的な戦略が見えてくる。
〇自社独自の戦略、今後生き残りビジョンが見える
〇説教区的にヒト・モノ・カネを配分する戦略、止める・減らす戦略が見えてくる
〇多岐にわたった経営戦略の取組みの優先順位がわかる
〇ニッチ市場や自社の使えそうな経営資源(強み)が何か、そのイメージがわくので行動に移しやすい
〇新商品開発の際、そのコンセプトをつくる時、「機会」×「強み」が参考になる
〇重点顧客・重点チャネルを決める、戦略営業を仕掛ける時、その作戦づくりのもとになる
〇新規事業へ参入する際の、進出すべきか否かの可否判断の根拠となる

 「この本の初版が発行されたのはコロンナショックの直前あるいは予兆の時期。第2刷は、「Withコロナ時代」コロナショックを乗り切るためには「ニッチ市場」と自社の強みを見極め「事業の選択と集中」を経営計画に反映させることが重要であることを述べ、具体的な取り組み方とそのプロセスを記載しています。また、根拠ある経営計画書として、中古自動車販売業、温泉ホテル業、飲食業、飲食業(居酒屋チェーン)、建設業専門運送業(新規事業)、建設リース業、機械加工業、金属加工業が事例で示されています。
会計事務所、コンサルタント、金融機関担当者にむけて書かれた本ですが経営者にもお薦めの本です。

『創造する経営者』P.F.ドラッカー 著 上田 惇生 訳

ダイヤモンド社発行 2007年5月7日第1刷発行 2017年5月12日第12刷発行

診断の再点検
 これまでに大要を明らかにしてきた四つの分析から、企業のマネジメントは、その経済的な機能の遂行に必要とされる自らの事業に対する理解を得ることができる。しかし、それも四つの分析は、いずれも、一つだけでは役に立たない。
(1)業績をもたらす領域についての分析(第2章)、利益と資源についての分析(第3章)
(2)コストセンターとコスト構造についての分析(第5章)
(3)マーケティング分析(第6章)
(4)知識分析(第7章)
 これら四つの分析を総合して行うことによって初めて、企業のマネジメントは、自社について理解し、診断し、方向づけを行うことができるようになる。
 しかし、もう一つ重要な段階がある。それは、(1)と(2)の分析によって事業そのものについて行った暫定的な診断を、(3)と(4)の分析によって再点検していくことである。その結果、時として、せっかくの企業診断を大幅に変更する必要が出てくる。確かに事実は正確に把握した、しかし、まだ本当に理解するところまでは把握していないという場合出ある。
 例えばある製品は、その属すべき製品類型(第4章)を変えることが必要となる。非生産的特殊製品が、別の市場、別の流通チャネルでは、きわめて有望な製品であることがわかるかもしれない。逆に、暫定的な診断においては、堂々たる今日の主力製品、あるいは明日の主力製品と判断したものが、実はすでにライフサイクルの末期、あるいは末期近くにあるかもしれない。これらのことは、製品だけでなく、市場やチャネル、そして時には事業全体についても言える。

 研修で「Power BI」の説明を受けました。BIはビジネス・インテリジェンスの略。マイクロソフトからツールとして提供されています。企業が蓄積しているデータを分析し、その結果から得られた知見をあらゆる活動に生かすために使うことが目的。データそのものが蓄積されるデータベースとは違い、別のツールとしてレポートが表示でき、データ分析に関する様々な機能を持っているソフトウェアです。
 ドラッカーの本に「事業の再点検」という言葉があります。①現状を分析診断し、それを②マーケティング分析と知識分析で点検することが「事業の再点検」です。これまで、分析した仮説①をもとに②へ進むというステップを踏んできたのですが「再点検」の意識が低く、分析した①を経営者や現場の責任者と話し合う(現状確認)機会を持たず、②へ進んでいるのが現状でした。ドラッカーの教えとBIツール活用で戦略目標やKPIの設定がより進化することがわかりました。

『コトラーのマーケティング講義』フィリップ・コトラー著 監訳者 木村 達也 訳者 有賀裕子

ダイヤモンド社発行 2004年10月第1刷発行

(P214)
病院に行くと、決まった手順に沿って検査をして、健康状態に問題がないかどうか検査してくれますよね。では、企業が自社のマーケティングについて健全性を知りたい場合にはどうすれば良いのでしょうか?

かつてトム・ピーターズは、店舗やオフィスを訪れて15分もそこに居れば、健全性を判断できる。と述べました。私自身は、「マーケティングを成功させるための十戒」を守っているかどうかで、企業を評価しています。この十戒については、詳しくはTen Deadly Sins of Marketing Signs and Solutions (John Wiley & Sons)を参照してください

1、市場セグメンテーションを行って最も望ましいセグメントを選び、核セグメントに強固な地位を得る。
2、顧客のニーズ、考え方、嗜好、行動などを分析したうえで、顧客に奉仕して満足をもたらすように、さまざまな利害関係者に働きかける。
3、どの企業が主な競争相手であるかを見極め、その強みと弱みを知る。
4、社員、仕入先、流通業者など、主な利害関係者を事業パートナーとみなして、厚遇する。
5、事業機会に目を留め、評価を行い、最も魅力的な機械を選び出すための仕組みを設ける。
6、マーケティング・プランニングを管理して、長期、短期の両面で的確なプラン作りができるようにする。
7、製品ミックスやサービス・ミックスの管理を万全にする。
8、費用対効果の面で最も優れたコミニュケーション・ツールやプロモーション・ツールを用いて、強大なブランドを築き上げる。
9、マーケティングに秀でた企業としての地位を築き、部門間のチーム精神を育む。
10、絶えず新しいテクノロジーを取り入れて、市場での競争優位を保つ。

 最近、販売管理システムと会計データを組み合わせることにより「どうしたら、もっと顧客に貢献し、儲かる仕組みを支援することができるか!」という事に興味を持ち取り組んでいます。そして、マーケティングの用語、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングという言葉を思い出し、以前、買ってあるフィリップ・コトラーの本を読みました。戸惑っているのは、市場区分の仕方です。この本を読んで、8、費用対効果の面で最も優れたコミニュケーション・ツールやプロモーション・ツールを用いて、強大な無ブランドを築き上げる。9、マーケティングに秀でた企業としての地位を築き、部門間のチーム精神を育む。という項が参考になりました。試行錯誤を続けてみます。

『社員の力で最高のチームをつくる』ケン・ブランチャード+ジョン・P・カルロス+アラン・ランドルフ 著 星野リゾート代表 星野 佳路 監訳

ダイヤモンド社

(P20) 4 継続的イノベーション
このごろ、どこに行っても、会社「学習する組織」であり続けなくてはならないという意見を聞く。そのためには、全社員が、昨日より今日、今日より明日の不尾がよくなっている企業というビジョンを共有しなくてはならないと言われる。だが、つねに進歩し自らを乗り越えつづける組織をつくる等ということは容易ではない。まして社員の力でイノベーション――仕事の進め方であれ、製品やサービスであれ――を起こし続けることは至難の業といえる。しかしマイケルには、そうしたイノベーションを起こせない会社は死んだも同然だということもわかっていた。

 そこまで考えてきて、マイケルはますます心配になった。確かにコンサルタントの提案は正しい。会社を生き残らせるには、顧客と品質を優先し、収益性とコスト効率を高め、市場変化に迅速かつ柔軟に対応し、イノベーションを継続しなければならない。だが、どうすればそんなことができるというのか?
 そのためには全社員を目標に向かわせる方法を見つけなくてはならない、と何度も聞かされた。社員には、自分がオーナーであるかのような自覚をもって、あるいは起業家の気概をもって、仕事に取り組んでもらうことが大切だというのだ。社員のなかで眠っている創造的エネルギーを解き放ち、それでいて会社をコントロール不能にしてはならない。社員にはスキルと能力をフルに発揮させ、行動し決定する責任を与え、会社が先の4要件を満たすために働いてもらわなければならない、というのである。

 そう考えたとき、「エンパワーメントi 」という言葉が浮かんだ。マイケルにはこれが必要だとアドバイスしてくれた人もいた。しかし、それならマイケルはさんざん試み、ほとんど成果が上がらないという結果も見ていた。

 この本は、書店で見つけました。本の帯にあった、星野佳路のことば「私にとってもっとも大切な教科書だ」という言葉に惹かれて買いました。最近、“業績に連動する従業員満足度のあげ方”をテーマによんでいるのですが、バランス・スコアカード(BSC)に戦略目標やKPIとして表現するところまで到達できません。先日、来社頂いた大学の先生とBSCの活用事例について話し合ったのですが、「活用がうまくいっているのは、人を大事にする会社」というヒントが見つかりました。本の前書きに、監訳者は「今の星野リゾートは、この本がなければ存在しなかった。私の経営者人生で最も影響を受けたのが本書だ」と書いています。ES(従業員満足)とCS(顧客満足)を考えている方にお勧めします。


iエンパワーメント:自律した社員が自らの力で仕事を進めていける環境をつくろうとする取り組み。社員のなかで眠っている能力を引き出し、最大限に活用することを目指す。(本のP001にある説明を引用)

『経営は「実行」―明日から結果を出すための鉄則』ラリー・ポジディ、ラム・チャラン、チャールズ・バーグ 高橋裕子訳

日本経済新聞社発行 2003年2月2日1販1刷 2007年6月14日5刷

(P17) 第1章誰も気づかないギャップ
 ある日の夜遅く、CEOはオフィスの自室で腰かけていた。憔悴しきっている。みずから指揮した戦略が失敗した理由を説明しようとしていたが、よくできた戦略で、どこが悪いのかまるでわからなかった。
 「まったく忌々しい。一年間あらゆる部門から人材を集めて、チームをつくった。保養地で一度会議を開き、ベンチマーキングをやり、指標も集めた。マッキンゼーの助言も受けた。全員がこの戦略に賛成した。内容も素晴らしかったし、市場も好調だった。
 間違いなく業界一の精鋭が集まっていた。わたしは大胆な目標を与えた。権限を委譲し、必要なことは何でもできる自由を与えた。何をすべきかを全員がわかっていた。インセンティブ制度は明快で、どんな賞罰が与えられるか理解されていた。みな一丸となって取り組んだ。ここまでやれば、失敗するはずがない。
 だが、年の終わりになっても、目標を達成できなかった。みなが結果を出してくれると信じていたが、裏切られたのだ。この九か月の間に、四度も業績予想を下げた。これでウォール街の信認を失った。取締役会の信頼も失ったはずだ。どうしていいのかわからないし、どうなるかもわからない。正直言って解任されるかもしれない」
 事実、この数週間後、このCEOは取締役会によって解任された。
 これは事実だが、誰も気づかないギャップを示す典型的な例だ。企業が現在、直面している最大の問題を如実に示している。企業経営者と話をすると、似たような話をたびたび耳にする。マスコミでは、うまくいくはずなのに行き詰っている企業が連日のように取り上げられている。エトナにAT&T、ブリティッシュ・エアウエィズ、キャンベル・スープ、コンパック、ジレット、ヒューレット・パッカード、コダック、ルーセント・テクノロジーズ、モトローラ、ゼロックス等々。数え上げれば切りがない。
 これらはみな優良企業だ。敏腕CEOに有能な社員がいる。心躍るビジョンを掲げ、最高のコンサルタントを招聘している。だが、目標達成には何度も失敗している。そんな企業はほかにも数多くある。目標を達成でできなかったと発表するたびに、株が投げ売りされ、膨大な時価総額が吹き飛ぶ。幹部や従業員の士気は下がる。やがてCEOは取締役会によって解任される。

 この本には付箋がいっぱいついています。久々に再読しました。「はじめに」P13には、「どんな戦略も、具体的な行動に落とし込まなければ、結果を生まないことを示す。業務プロセスは、戦略を実行するために段階を踏んで業務計画を策定する方法を示すものだ。戦略と計画はいずれも人材プロセスと結びついており、業務計画の実行に必要な能力と組織の能力とが一致しているかどうかが問われる。と書いてあります。
 この本では「実行」を、経営環境を想定し、自社の能力を評価し、戦略をや業務や、戦略を実行する人材と結びつけ、様々な職種の人々が協商できるようにし、報酬を結果と結びつけることであると定義づけています。小規模事業者に「実行」をわかりやすく伝える努力を続けます。

『新・従業員満足度 ES2.0』~業績に連動する従業員満足度の上げ方~ 藤原 清道 著

ビジネス・ベストセラー出版株式会社発行 2019年12月20日第1販第1刷発行

(P51) 2)誰の満足度を上げることをめざすのか
 前項から読み進めてくださっている方は、すでにある程度の創造がついているだろうと思います。誰の満足度を上げるのか。それは、自分の含めた全従業員です。ただ、組織のリーダーである皆さんは、いくらか自分の満足を後回しにして考えて行動していくことをオススメします。
 経営者という仕事、とりわけ創業経営者の仕事は、自分の労働力やり方やリスクに対する報酬が最も割の合わないもの。そのように感じている読者諸氏もおおいのではないかと想像します。しかし、日々そういう意識の中にいると、つい、「私はこれだけ日々の努力をしているのだから、少しぐらい良い思いをさせてもらってもバチは当たらないだろうという」発想になってしまいがちです。
 そこに大きな落とし穴があります。ご自身が、独立して経営者になる前のことを思い出してみてください。経営者として、「少しぐらいはいいだろう……」と思っていることであっても、従業員の立場では、「俺たちはこんなに我慢しているのに、社長だけいい思いをしているよなぁ。でも、そういうことを知るとやる気がなくなっちゃうよな」と思ってしまうものです。

 人間は誰しも、自分がしていることは棚に上げて、他人が良い思いをしていることに対して不満を感じるようにできています。このことを強く意識しておきましょう。そうすれば、「なぜ、自分の満足を後回しに」するのかも、府に落ちるのではないかと思います。
 自分のことを後回しにして、自分以外の全従業員の満足度を上げるということは、ここまで理解することができました。全従業員とひとくくりに言うことは簡単ですが、全従業員とは、一人ひとりの個人の集合体です。性格も違えば、働き方も違います。勤務時間や勤務日数も違うかもしれません。仕事の結果だけでなく、仕事に向かう意味や準備も、人によって違うはずです。いざ、従業員の満足度を上げることを考えたとき、具体的に、何に気を付けて何から着手すればいいのでしょうか。

 従業員満足度を上げるための施策はさまざまありますが、それは全従業員に平等に行っていけば良いのでしょうか。

 全従業員とは、自分も含めた全従業員ですが、もし自分のことを後回しにすることで、自分の満足度が下がってしまうようであれば、それは長期的に見てよいことではありません。ですので、自分自身の満足度が上がるようなマインドセットを形成する訓練を平行して行うことをオススメしています。
 難しいことではありません。「他者の満足こそが自分の満足である」ということを、まず自分の理想に置き、その理想が現実だと強く念じ、その現実とマッチしないことがあれば気持ち悪いと感じ、その気持ちを解消するべく(現実を合わせていくために)努力していくこと。
 誰の満足度を上げることを目指すのか、自分自身のマインドセットが確立されていれば、自分の満足度を上げることを目指しても、結果としてゴールは同じことになります。

 前回と同じ本の1ページを書きました。ES(従業員満足)とCS(顧客満足)の関係をつなぐ業績評価指標(KPI)を考え、「サービスプロフィット・チェーンの仕組み」という図を見つけました。
・従業員満足度(EIS)と顧客満足度(CIS)をつなぐ鍵は「スキルの向上」「サービス力の強化」
・顧客満足度(CIS)と業績(Profit)をつなぐ鍵は「顧客のリピート」「競合優位性の確立
・業績(Profit)と従業員満足度(EIS)をつなぐ鍵は「福利厚生」「教育訓練」「給与/待遇」

「従業員満足度が高まれば、顧客満足度も高まり、企業としての利益も高まっていく」、結果に至るまでのプロセスはわかりますが、業績と従業員満足度をつなぐ「鍵」については腑に落ちません(汗、前回書いたときアドバイスをいただいたホスピタリティとコンタクトパーソネルをもっと学ぶとともに、経営者自身のマインドセットが大事と気づきました。

「チェンジ・リーダーの条件」P.F.ドラッカー著 上田 惇生 編訳

ダイヤモンド社発行 2009年9月28日第1刷 2017年8月3日第30刷発行

(P185)5章 同族企業のマネジメント
生き残りを左右する原則
 先進国では、企業の大半を同族が所有し、マネジメントしている。同族経営は、中小企業に限らない。世界最大級の企業もある。

 リーバイ・ストラウスは、一世紀手前の創立以来、同族所有であり相続経営
である。デュポンも1902年の創立以来、1970年代半ばまでの170年間、
同族経営だった。そして、世界最大の化学メーカーに成長した。
 200年前、ある無名の両替商が、ヨーロッパのいくつかの主要国の首都に
息子たちを駐在させた。今日、ロスチャイルドの名を残し、同家によってマネ
ジメントされる金融機関は、世界のトップクラスにある。

 ところが、マネジメントについての本や講座のほとんどが、経営のプロによってマネジメントされる上場企業だけを扱っている。同族企業に触れることはほとんどない。同族企業と他の企業との間に研究開発、マーケティング、経理などの仕事で違いがあるわけではない。しかし、同族企業はマネジメントの構成に関して、いくつかの原則を必要とする。それらの原則は厳しくなければならない。さもなければ生き残ることはできず、繁栄など到底できない。
P186~P188
第一の原則:出来の悪いものは働かせるな
第二の原則:トップマネジメントに一族以外からも採用せよ
第三の原則:専門的な地位には一族以外の者も必要
P189
 適切な仲裁人を外部に用意せよ
 この三つの原則を守っていても問題が起こることがある。特に後継者問題をめぐって混乱しやすい。創業者である二人の兄弟が引退を考えるようになったとき、それぞれが、次のCEOに自分の息子を押す。20年間七よく働いてきた二人が敵対関係に陥り、譲歩するぐらいならば持ち株を売り払ったほうがましと考える。創業者の未亡人が、娘のために、並みの才能しかない婿を義弟の後釜に据えようとする。あるいは、ハイテク企業の創業者が、いやがる息子に大学の研究者の経歴を捨てさせて、継がせる。ところが父親が死んで半年後には、その息子が会社をコングロマリットに売ってしまう。
(以下略)

 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。事業承継の相談が増えてきたので、年末年始「同族企業(ファミリービジネス)」をテーマに本を読みました。関与先のほとんどが同族企業。事業承継の問題には必ず親子や家族、親族との関係が絡んでいます。うまくいくケースと真逆のケース…ドラッカーが「同族企業」について述べていたことを思い出し、この本を見つけました。P190には「後継者問題が深刻化してから外部の人間を招いても手遅れである」という記載があります。ドラッカーの洞察力はすごい!三つの原則と「適切な仲裁人を外部に用意せよ」というアドバイスはそのまますべてのケースに当てはまります。会計人として、「適切な仲裁人」を目指します。

「あたりまえだけどなかなかつくれない-チームのルール」小倉 広 著

明日香出版社発行 008年11月5日初版発行 2016年3月30日第30刷発行

(P52)ビジョンをみんなで描こう
 「俺たちのチームが目指す姿はここだ!競合X社Oなぎ倒してシェア50%を目指すぞ!」リーダーが勢いよく宣言しました。しかし、メンバーの反応は芳しくありません。イエスでもノーでもなくの無反応。
 「お前たち、本当にやる気があるのか?」とチームリーダー。またもや無反応なメンバーたち。
 さて、このチーム、何が問題なのでしょうか?
 無気力なメンバーたちに責を求めるのは簡単なこと。しかしここは違う観点が大切です。つまりビジョンはだれが決めるものなのか、という観点で見てみると、一つの改善策が見つかるのです。
 ビジョンはリーダー個人のものか?と問われればほとんどの人はノーと答えるでしょう。ビジョンはチーム全員のもの。これに異を唱える人はいないはずです。
 しかし不思議なことに、ビジョンはリーダーがつくるものか?と問われればイエスと答える人が多い。つまりビジョンはチーム全員のものであると知っていながらも、つくるのはリーダーの仕事と考えている人が多いのです。
 しかし、これではうまくいかない。みんなのビジョンであるならば、みんなで一緒に作るのが一番。「参加なくして決意なし」の言葉の通り、みんなでビジョンづくりに参加し、みんなでビジョンを実現するのがベストなのです。
 「参加なくして決意なし」。私はこの言葉を逆手にとってこんな言葉を部下に伝えています。「参加したからには決意しろよ!決意できないならばそんなビジョン捨ててしまえ!」と。
 未熟なメンバーたちの多くは、決定されたビジョンに対して不平不満を漏らします。しかも、「では自分で作ってみろ」と言われれば意見が名語りするもの。そうではなく、ビジョンづくりに参加させるからにはその言葉に対して責任を持たせるのは当然のこと。きちんと大人扱いして彼らを尊重し、それと同じだけの責任を求めていく。
 コインの表裏である権利と責任の両方を求めていくことでチームの決意が生まれるのです。

 先週に続いて同じ本です。これまで、ビジョンを示しそれを実現するのが経営計画と考えてきました。最近、若い世代から「われわれの意見も聞いて欲しい」という要望があり、彼らの提案で彼らが作成したアンケートで意見をまとめさせました。結果は、あーして欲しい、こーして欲しいという内容でした。同調して古い世代からは不平不満……「改善」や「革新」につながる提案は全くありません。
 会社は学級委員会ではありません。理念を達成するためのビジョンを決め、ビジョンを実現するためにある組織です。古い世代の不平不満は論外ですが、若い世代とビジョンを共有するためにはビジョンづくりに参加させる必要があることがわかりました。