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『コーポレート・トランスフォーメーション 日本の社会をつくり変える』 富山 和彦 著

2020年6月25日 株式会社文芸春秋社発行


(P211)
CXモデルの萌芽―ラグビー日本代表はなぜ結果をだせたのか
 昨年のラグビーワールドカップで日本代表が一次リーグで優勝候補のアイルランドを破り、決勝トーナメントに進むという大活躍を見せ、チームコンセプトOne Teamという言葉が一つの流行語になった。もともとチームワーク指向の日本人の嗜好に合ったこともあるが、このOne Teamは決して同質的で固定的で調和的な集団ではない。人種、国籍、バックグラウンドそして世代も多様で、当然ながら代表の一員になることも、出場することも、チーム内の役割分担という規律を前提にした厳しい競争原理にさらされ、誰も鉄壁の指定席は持っていない。ヘッドコーチとチームメンバー、そしてチームメンバー同士の軋轢、緊張も相当のものらしい。戦うプロ同士なんだから当然だ。浅薄な調和重視でなあなあでやり過ごすと後で厳しいいしっぺ返しが待っている。
 ちなみにこれは連合総研理事長の古賀伸明さん(前連合会長)が故平尾誠二さんから聞かれた話の受け売りだが、ラグビーの有名な格言 one for all ,all for oneについて「一人は皆のために、皆は一人のために」という後半部分は間違いで、この言葉の原義は、最後のoneはチームとしての勝利を意味していたそうである。ラグビーというスポーツが英国のエリート養成、ほぼすなわち軍人要請期間であるパブリックスクールで発信したことから、言葉の甘っちょろさに違和感があったのだが、古賀さんからその話を伝え聞いて大いに納得である。
 あのチームのすごさはこれだけの多様性とメンバーの流動性を持っていながらも、One Teamとして機能したことである。おそらく人種や国籍の多様性においては、日本代表は出場チームの中でも上の方だったのではないか。そして指揮官もニュージランド人である。当然のことがら、いきなりそんな混成メンバーを世界中から集めてチームを作っても機能するわけはがない。ラグビー界は、長年にわたり高校生ぐらいから外国人を受け入れ、大学、社会人に至るまで多くの外国人が活躍してきた。ラグビー界自身の持続的な内なる国際化、多様性というトランスフォーメーションの努力があったからこそ、多様性とOne Teamが機能したのである。まさにCXの成功モデルここにありなのだ。どんなに敏捷性、勤勉性、チームワークを鍛え上げても、日本代表が典型的な日本人種だけで構成されていたらあんな活躍はあり得ない。圧倒的な対格差は克服不可能だったはずだ。
(中略)

 今からでも遅くない、グローバル市場で戦っている企業は、とにかく経営幹部候補の国別、性別、年齢の多様性を実現することに本気で取り組むべし。彼らが日本の労働慣行や給与体系に馴染まないなら、それを変えるべし。日本国内の法制度が邪魔なら、海外で働いてもらうべし。たいていのことはリモートですむことは、今回のコロナショックで実証済みだ。(後略)

 前回掲載した「どんぶり経営病→分ける化→見える化」を進めることが必要でも、これまでのような「財務分析」や「管理会計の活用」だけで課題解決はできない。脱どんぶり経営のstepは、『創造する経営者』(ドラッカー著 P160)に記載があるように、①業績をもたらす領域の分析、利益と資源についての分析、②コストセンターとコスト構造についての分析、③マーケティング分析、④知識分析と進めることが必要です。
 このような取り組みができる人材を中小企業の多くは抱えていません。また、人材育成して取り組むまでの時間はありません。ラグビーチームのような発想で外部(認定支援機関や公的機関)を活用すると、多様性というトランスフォーメーションが可能になります。

『コーポレート・トランスフォーメーション 日本の社会をつくり変える』 富山 和彦 著

2020年6月25日 株式会社文芸春秋社発行


(P290)
中堅・中小企業の基礎疾患(3)-どんぶり化→分ける化→見える化
 中堅・中小企業は、経済的な組織能力の弱さと、ビジネスモデルの特性上、どんぶり勘定になっている場合が多い。もちろん最低限の帳簿は、主に納税時の申告書類と銀行からの借り入れ時に審査書類とでぃて出す帳簿書類を作るために取っている。しかし、経営上に生かすためのデータとして、経営管理や生産性指標をとるレベルの経営数値把握ができているケースはまれである。
 また、サービス産業は固定費型のビジネスが多く、個々のサービスにかかるコストの多くは把握できず、その配布基準に合わせた業務データをとらないとコストの振り分けができない。最近はIT技術を使えばかなり自動的にエータを取って実作業ベースのコスト(ABC:Activity Based Costing)をとらえられるようになっているが、中堅・中小企業の多くはITリテラシーも低く、結局、どんぶり勘定になってしまうケースが多い。
 一方、製造業はモノにコストを張り付けられるので、なんとなく原価を把握しているような気持ちになりやすい。しかし、多品種生産になってくると、標準原価の基準が雑になりがちな上に、第4章で指摘したように製造業でも共通固定費のマネジメントが実は最終損益を大きく決定づけていて、中小企業に多い下請け的なビジネスモデルではそれが顧客対応で発生しているケースが多い。そうなると営業経費や固定経費を配布して顧客別損益を見ないと、真の姿は見えず経営上の施策は反映できない。一見、製造業に見えてもB2Bの「ものづくり」サービス業という傾向が強いということである。

 とにかく、何が起きているのかを把握できなければ生産性向上のやりようがない。そこでまず手を付けるべきは、「分ける化」「見える化」である。生産性を上げようと思えば、分けて見えるようにしないと思索が出てこないからである。
バス事業であれば、路線側の収支であったり、バスごとの収支であったり、運転手それぞれの生産性だったり…。そのためには指標を設定し、きちんとしたKPIを図れるようにする必要があるわけだが、そうなるとどう測るか、という問題が出てくる。

 この本は第18回RINGS(秋田)未来会計セミナー「コロナ禍における経営のポイント」で主催した武田先生のお話を聞き、購入しました。「コーポレート・トランスフォーメーション(CX)」の意味は…P220に著者が「難しい継続的な改革」と表現していました。見出しは、「中堅・中小企業」となっていますが、私は中小企業を対象に記載していると読みました。
最近、CX、DX(デジタル・トランスフォーメーション)とういう言葉をよく聞きます。これからの経営を考える上で、避けて通れない言葉です。私達、中小企業は、どんぶり化を抜け出す、「分ける化」「見える化」から始めましょう。

『会計事務所の経営支援―経営会計専門家の仕事―』澤邉 紀生・吉永 茂 著

(株)中央経済社 2020年11月1日第1版第1刷発行


はじめに
 今日、我が国の中小企業の多くは、以下の3つの経営課題に直面している。
①円滑な事業承継
②企業の収益向上
③自社に合った経営管理の仕組みづくり
 経営管理の仕組みが構築され、トップの強いリーダーシップの下で全社員が共同体意識をもって日々の業務に励めば、自ずと企業の収益性は向上し、その結果、親族内承継やM&Aも進むことになる。
 しかし、大企業と違って、経営資源に限りのある中小企業がこの取組みを自社だけで完結させるのは容易ではない。経営者の最も身近な専門家である税理士、公認会計士(経営会計専門家)の支援が不可欠である。
 今般の「新型コロナウイルス感染症」の広がりにより、上記3つの経営課題解決の必要性と緊急度は全国的に高まっている。今こそ、すべての経営会計専門家は、「税務」、「監査」といった独占業務の専業から経営支援業務へも軸足を拡張し、地域経済の活性化に貢献すべきである。
 本書は、経営を支援してきた実務家と会計学の研究者による共著である。企業のわかりやすい実例を通じて、自洗的なノウハウだけでなく理論的な考え方の基礎も学んでいただける構成になっている。経営会計専門家だけでなく中小企業のオーナーの方や金融機関の方々等にも読んでいただきたい。
 経営改善に何らかのヒントを与えることができれば、著者としてこれにまさるものはない。

 経営支援を目指す会計事務所待望の書です。実務家会計学の研究者による共著の特徴として、P14に本を読み進めるための基礎知識が解説してあります。顧客企業の経営を理解するための2つのツール(デュポンチャートとROICツリー)と両者の関係性。そしてビジネスモデルを理解するための便利なフレームワークとしてビジネスモデルキャンパスが紹介され、その使い方が解説してあります。
 チャネルと顧客との関係まで俯瞰できる「ビジネスモデルキャンパス」は、私がこれまで学んだことのない知識で、経営上のよくわからない不安を取り除き、ビジネスモデルを見直すためのツールです。この本を読み、会計事務所の所長と職員が対話することにより、経営支援業務の主観的な知識を言語化することができます。会計事務所の教科書です。

『リーダーが育つ変革プロジェクトの教科書』「DX(デジタル変革)を推進する人材がいない」白川 克 著 kindle版

日経BP社

(P60)
企業に共通する課題、解決策はただ一つ
リーダー育成とビジネス変革の2兎を追え!
「企業の変革を担う人材がいない」。多くの企業に共通する悩みですが、解決策は一つしかありません。ビジネス変革プロジェクトを推進する中で、変革リーダーとなり得る人材を育てることです。
そんな二兎を追う「育つ変革プロジェクト」の第一人者が、具体的な事例とともにノウハウ・方法論を詳細解説しました。特にデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業の経営層やマネジャー、プロジェクト担当者には必読の一冊です。
今、ビジネスのデジタル化、グローバル化が急速に進んでおり、企業やそこで働くビジネスパーソンはこれまでのビジネスのやり方を変えていかなければ、激しい競争に勝ち残っていくことができません。なかでも、デジタルによるビジネス変革を意味するDXは喫緊の課題です。
ところが多くの企業は「変革プロジェクトを担うリーダーがいない」「変革プロジェクトをやったことがないので、リーダーを育てられない」というジレンマを抱えています。それを一気に解決するのが、育つ変革プロジェクトです。
本書では住友生命保険などの事例を基に、育つ変革プロジェクトとは何かを解説したうえで、プロジェクトの立ち上げ方や推進方法、その中で人材を育成するためのノウハウ、プロジェクトの成果を会社全体に広げるやり方などを詳細に解説します。これらは、著者らが10年以上にわたるコンサルティングの実践で培った方法論です。一読すれば「なるほど! これならできる」と腑に落ちて、即座に実践できるはずです。

Kindle版の紹介文をそのまま掲載しました。
経済産業省がデジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進しているサイトです。https://www.meti.go.jp/policy/digital_transformation/index.html
2020年8月27日付の情報ですが、「「デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会」を設置します」という記載があります。研究会の趣旨と背景は
https://www.meti.go.jp/press/2020/08/20200827001/20200827001.html
上記にありますが、アフターコロナを前提とした取り組みです。
□企業の変革を担う人材育成
□コロナ禍における企業の事業環境の変化を明らかにし、産業界において戦略
的な展開を進めていくために必要となるDX(経産省記載分引用)

 人材確保が課題の私達中小企業に、このような取り組みができるでしょうか。書店で『いちばんやさしいDXの教本』を買って読みましたが、答えを見つけることができませんでした。
ZOOMを使って実施した、日本経営会計専門家研究学会と共催の「会計データと製品市場分析を組み合わせた経営戦略分析」という研究部会が終わり、次の課題はDX。中小企業に、DXの情報を会計事務所だけで提供することはできません。公的な認定支援機関・中小企業診断士・社会保険労務士等と連携した取り組みが必要な時代になりました。

『本音に気づく会話術』西任 暁子 著

株式会社ポプラ社 2016年4月7日第1刷発行

(P60)
話は伝わらなくて当たり前
「どうしてわかってくれないのだろう?」
言いたいことが伝わらない時は、誰だってストレスを感じるものです。
 では、外国の方と話す場合はどうでしょうか。伝わらないもどかしさはありますが、「どうしてわかってくれないの?」とイライラしたりはしないはずです。言葉がわからないのだから「伝わらなくて当たり前」と思えます。
 ところが、お互いに日本語がわかるとなると、途端にイライラしてしまうもの。それは心のどこかに「伝わって当然」だという意識があるからかもしれません。だから、伝わらないと、「どうしてわからないの!」とストレスを感じるわけです。
 さて、ここで質問。本当に、話は「伝わって当然」なのでしょうか?

 そもそも、会話はいつ始まるのでしょう。「これは重要なことだ」「いいアイデアを思いついた」など、話し手が何かを見たり、聞いたり、考えたりして心が動いた時です。つまり、心動かされる体験が会話のスタート地点。心が動かない日常……今日もいつもの時間に起きていつもの電車に乗った。なんていう話をわざわざ人に伝えようとは思いませんからね。
 さて、この「伝えたい」と感じた体験はどのように届けられるのでしょう。
(以下省略)

 この本はフェースブックで通知があった「話し方」に関するYouTubeの動画を観てAmazonで買いました。スキル1:自分の本音に気づく、スキル2:相手の本音を聞く、スキル3:自分の本音を伝える。という構成になっています。普段、相談を受けることが多いのでニーズを察知して結論を導くことを基本にし、「本音」を引き出し、「本音」で会話ができていないことに気づきました。簡単になおせることではありませんが、忙しい、忙しいとスケジュールをこなすだけでなく、この本を読み「本音に気づく会話術」を身につけたいと思いました。

『最新農業の動向と仕組みがよ~くわかる本』中村 恵二/山口 大樹 著

株式会社秀和システム発行 2018年4月1日第1版第1刷 2019年1月20日第1版第2刷

(P94)
六次産業化の基本
六次産業化は、今村奈良臣・東京大学名誉教授が提唱した農業論で、「一次産業×二次産業×三次産業=六次産業」という形で、農林漁業者が、製造業やサービス産業と連携していくことの必要性を説いています。
【1×2×3=】
 最初は「1+2+3=6」だったものを「1×2×3=6」と掛け算にしたことについて、今村教授は農地や農業がなくなれば、つまりになれば、六次産業そのものが消え失せてしまうことや掛け算にすることによって、農業、加工、販売・情報の各部門の連携を強化し、付加価値や所得を増やし、基本である農業部門の所得を一段と増やそうということにあります。そして、農業部門はもちろん、加工部門あるいは販売・流通部門さらにはグリーン・ツーズムなどの観光で新規に就業や雇用の場を拡げ、所得の増大を図りつつ、六次産業の拡大再生産の道を切り拓こうという理由からだと述べています。
【六次産業化がめざす基本課題】
 今村教授は農業の六次産業化を推進し、成果を上げ、成功への道を切り拓いていくための基本課題として、五つの項目を挙げています。
 第一の課題は、消費者に喜ばれ愛されるものを供給することを通して、販路の確保を着実に伸ばしつつ、農山漁村地域の所得と雇用の場を増やし、それを通して農山漁村の活力をとりもどすことであるとしています。
 二つ目は、様々な農畜産物(水産物も含む、以下同じ)を加工し、販売するにあたり、安全・安心.・健康・新鮮・個性などをキーワードとし、消費者に信頼される食料品などを供給することです。
【都市と農村の交流など】
 さらに、三つ目の課題として、企業性を追求し、収益ならびに所得の確保を図ることを掲げています。農畜産物の生産や加工、食料品の製造に当たっては、あくまでも企業性を追求し、可能な限り生産性を高め、コストの低減をはかり、競争条件の厳しい中で収益ならびに所得の確保を図ることを課題としています。
 四つ目は、六次化を新たなビジネスの追求にのみ終わるのではなく、地域環境の維持・保全・創造、特に緑資源や水資源への配慮、美しい農村景観の創造などに努めつつ、都市住民の農村へのアクセスへの道、新しい時代のグリーン・ツーリズム注1 の道を切り拓くことに努めることとし、最後の五つ目としては、農業・農村の持つ教育力に着目し、農産物や加工食料品の販売を通し、都市と農村の交流を通し、先人の培った知恵や英知の蓄積、、つまりムラの命を、都市とりわけ、次代を担う若い世代に吹き込み、新しい姿を創りあげることを掲げています。

 「農業法人」とは、法人形態によって農業を営む法人の総称。農業生産法人とは違います。法人形態は「会社法人」と「農事組合法人」に分けられます。説明はここまでにして……最近農業法人の相談を受け、六次産業化という言葉が気になりこの本を買いました。農業と2次産業や3次産業を組み合わせることにより、付加価値を上げる取り組みとわかりましたが、生産する農家がいなければ成り立たない仕組みです。この本にあるように農地や農家がなくなれば六次産業そのものが消えてしまいます。これを機会に「農家が儲かる仕組み」に取り組んでいます。

注1グリーンツーリズム 農山漁村地域において自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動

『理念と経営』Vol.177令和2年9号 令和2年8月発行 発行人 田舞 徳太郎

発行所株式会社コスモ教育出版

(P08)
生産性と創造性、両方を向上させるチャンスが来た
株式会社シナ・コーポレーション代表取締役遠藤 功 取材文:上坂鉄
 コロナショックによって経営を取り巻く環境が大きく変わろうとしている。「ポストコロナ」とはどのような時代なのか、企業も変化を求められる今、この荒波をチャンスに変えるべく、取り組むべき「4つの戦略」をひもといていく。
(中略)
ポストコロナ時代の「SPGH戦略」
 経済成長率を縦軸に、安定性を横軸にグラフを作ってみると、昭和、平成、令和がどんな状況にあるのかが、すぐに見て取れます。忘れてはいけないことは、高成長、高安定の昭和の時代はもう「やってこないということです。そのためにやるべきことがあります。
 では、ポストコロナ時代には、どんな経営がもとめられてくるのか、情が縮小するとなれば、淘汰は避けられません。弱肉強食が起こらざるを得ない。そのためには、「70%エコノミー」を想定した経営を覚悟する必要があります。ここで取り組むべき四つのキーワードを、私は「SPGH戦略」と呼んでいます。
(以下、SPGH戦略の部分についての解説のみ掲載)
■「サバイバル(Survival)戦略」
 需要が縮小しますから、身の丈も縮めるしかありません。人員を適正化、ダウンサイズすることです。コストを変動化し、身軽な経営にする。改めて事業のコアを見直すことも必要です。その上で目先のビジネスでしっかり稼ぐ。何より内容に目を向けることです。
■「生産性(Productivity)戦略」
 今回の危機で改めて露呈したことは、会社がいかに「不要不急」なものだらけだったのか、ということでした。不要な出張、不要な残業、不要な書類……。デジタル化、オンライン化、リモートワークの実現で、それらすべてが不要なものだとわかってしまった。ただし、リモートワークを定借させるには、きちんとしたオンライン環境があり、そのためにはデジタル化が必要だったという事もあきらかになりました。デジタル化なくして、オンラインもリモートもない、ということです。だから今こそ、本格的にデジタル化に踏み出すべきです。昔のような高額な巨大システムはいりません。クラウドとスマホでデジタルデジタル化はすぐ簡単にできる。これをもっと推し進める必要があります。
■「成長(Growth)戦略」
 現行事業でサバイバルしながら、一方で新規事業の探索を強化する。新たな成長エンジンの確立です。平成の時代にうまくいかなかったのは、新規事業を検討しましょうと検討ばかりしていたからです。これからやるべきは、アジャイル方式です。面白いアイデアがあったら、すぐにやってみる。片っ端から新しいものにチャレンジしてみる。社長直轄の組織を作るのもいいでしょう。別会社にするのもいい。駄目ならすぐ畳む。すぐに次に向かう。とにかくどんどんやっていくこと。たくさんトライしてみることです。加えて、M&Aを活用して既存事業を強化したり、新分野への参入も狙う。時間を買うんです。弱肉強食で苦しい会社も出てきますからM&Aのチャンスは拡大します。
■「人材(Human Resource)戦略」
 平成時代の失敗は、誰も新しいレールを敷こうとしなかったことでした。「誰かが敷いたレールの上を走る」人材ばかりになってしまった。企業の規模を問わず、これから必要になってくるのは。「新たなレールを敷くことができる」人材です。この人材が足りない。とくに中小企業では不足しています。だから、外部からの積極登用を進める必要があります。新しい血、異質の人材を入れるということです。そのためには、外部人材を処遇する新たな制度や仕組みを整える必要があるでしょう。中小企業だから、地方の企業だから大企業のより「報酬は低く、などというのは思い込みです。(以下略)

 (株)シナ・コーポレーション遠藤 功氏は、早稲田大学大学院教授です。株式会社良品計画他数社の社外取締役になっています。『コロナ後に生き残る会社 食える仕事 稼げる働き方』(発行:東洋経済新報社)。という本を出版していることがネットで検索してわかりました。
 ドラッカーの『創造する経営者』を読み、ポストコロナ時代の戦略は、事業の分析から始める必要があることがわかり、会計事務所として「財務データと製品市場分析を組み合わせた経営戦略分析」を関与先への提案に着手しています。この記事の「SPGH戦略」は、『創造する経営者』P18にある現状認識のポイント①第一に「今日の事業の成果をあげる」ことに関し、アンバランスが生じていないかを確認すること、②第二に「明日のために新しい事業を開拓する」タイミングを認識すること。重要なのは、「将来の見通し」の判断。につながります。

『コトラーのマーケティング講義』フィリップ・コトラー著 木村 達也 監訳・有賀 裕子 訳

ダイヤモンド社発行 2004年10月7日第1刷発行

(P43)
061 マーケティングはニーズに応えるだけですか?それとも、進んでニーズを生み出すのでしょうか?
 マーケティングはニーズを創造しません。ニーズを前提にして、それを満たしそうな具体的な製品やサービスについて、欲求を引き出すのです。生まれながらにして、ソニーの(ウォークマン)を欲しいと考えていた人などいませんよね。ですが、音楽や言葉などによる刺激へのニーズはあるでしょう。基本的なニーズを満たすための1つの方法として、たとえばソニーの(ウォークマン)の欲求を生みだすのが、マーケティングなのです。さらに言えば、買い手は(ウォークマン)そのものを買うというよりは、(ウォークマン)が約束するサービスを期待して、購入にいたるのです。
 もちろん、ソニー以外のブランドを選ぶ買い手もいるでしょう。そこで各メーカーは、自社ブランドの魅力度を高めようと努力します。そのためには設計やデザインの改良、機能の追加、サービス向上、低価格などを実現することになり、そのそれぞれが異なる買い手を惹きつけます。各社は、ターゲット市場を明確にして、その市場に属する人々により強くアピールするように、製品を設計する必要があります。
 ニーズにこたえるよりも、むしろ問題を解決するのが、マーケティングの役割です。ニーズや欲求が満たされていなければ、そこには問題があります。ごく、一般的なニーズならすでに満たされていますが、他のニーズは放置されているのではないしょうか。

 ドラッカーの『創造する経営者』P160「四つの分析から、企業のマネジメントは、その経済的な機能の遂行に必要とされる自らの事業に対する理解を得ることができる」と言っています。四つの分析とは
➀業績をもたらす領域についての分析、利益と資産についての分析
➁コストセンターとコスト構造についての分析
➂マーケティング分析
➃知識分析
であり、➂にマーケティング分析が出てくる意味が理解できなかったのですが、『コトラーのマーケティング講義』を読み、つながりが少しわかりました。このプロセスで戦略やKPIを特定することにチャレンジします。

『小さな会社こそが実行すべき ドラッカー経営戦略』和田 一男 著

明日香出版社発行 2012年11月21日初版発行

(P56)
12 製品分析の基本④製品分類分析
 製品を分類し対策を考えます。ドラッカーは11種類に分けて、それぞれに特徴、とるべき対策、処方があると説明しています。
最初の5つは対応が容易なものです。
➀今日の主力製品
 現在の主力になっている製品、成長の余地は残されているか、資源を過剰配分していないかを注意する。
➁明日の主力製品
明日の主力となる製品。追加資源の見返りが最も大きな製品で、育てる努力が必要
➂生産的特殊製品
 限定された特殊な市場を持つ製品。市場でリーダーシップを持つ製品別利益の大きい製品。
➃開発製品
 見通しのまだわからない、市場に導入中の製品。潜在成長力は期待されるが、後述する独善的な商品にならぬよう、注意が必要。
➄失敗製品
 明らかな問題製品。痛みは大きいが、廃棄や安売り等対応ははっきりしている。

次の6つ
➅昨日の主力商品
 もはやピークを越えてしまった製品。利益には貢献していない。貢献度や愛着はあるが衰退を防ぐことはできない。早い決断が必要。
➆手直し用製品
 製品に手直しによって、大きな成長、市場のリーダーシップ、見返りが大きいと判断される製品。手直しのための欠陥が明確で、内容も大きな利益と成長が現実に見込まれるもの。手直しの機会は一度限りとしないと、問題がさらに深まっていく可能性が高い。
➇仮の特殊製品
 主力商品となりうるのに、特殊製品として扱ってしまっているもの。個別の顧客だけではなく、市場から見た製品の位置づけや次世代の製品の在り方を考える必要がある。
➈非生産的の特殊製品
 市場において無意味な差別化を行っている製品。経済的機能をはたしていないために、売れない。利益流出の原因ともなる。 
➉独善的製品
 明日は成功すると信じられていて、多額の投資をしているが、明日が来ない製品。成功するまでやり直すなどと固執するケースは極めて危険な状態。
⑪シンデレラ製品、睡眠製品
 チャンスを与えればうまくいくかもしれない製品。機会を生かし、資源や支援を十分与えるべき製品だが、者にの力関係で思いきったシフトが行われていない場合がある。

このように、製品の分類、そして処方を考えることも重要ですが、製品の性格の変化を注意深く捉えなければなりません。なぜなら、時間がたてば①今日の主力製品が➅昨日の主力製品になったり、④開発製品が⑩独善的製品になったりするためです。変化を知るためには、2つの原則があります。

➀予期したものと違う結果が出るようになる
 期待と業績を比較することによって、独善的製品という対価していく傾向や、シンデレラ製品という機会の損失を発見することができます。
➁投資の増分に対して、得られる算出量が得られない
 永久に続く製品はありません。すべての製品にはライフサイクルがあり、製品のステージが変化します。

 変化を的確に捉え、どの製品にどれぐらい投資すればいいかを診断することが明日の予測と予防のための手段へと変わります。

 この本は、ドラッカーの『創造する経営者』上田惇生訳のP61「製品とライフサイクル」をわかりやすく解説したもので、脚注に「これらの分析は市場や流通チャネル(販路)にも行うことができます」と書いてありました。私が今、興味をもっているのは、市場と営業利益の貢献度分析です。製品の貢献度分析は出てくるのですが、市場分析に言及した記載を見つけることができません。営業利益の貢献度が高い市場と低い市場があります。この本に書いてあることを参考に利益貢献度の低い市場と高い市場にとるべき戦略を“営業”の視点から分析してみることにしました。

『実践するドラッカー 事業編 』上田 敦生 監修 佐藤 等 編著

ダイヤモンド社発行 2012年3月8日第1刷発行

(P160)
四つの分析で事業を理解する


 ドラッカー教授は『創造する経営者』で、事業分析のポイントを示しました。「これら四つの分析を総合して使うことによってはじめて、企業のマネジメントは、自社について理解し、方向づけを行うことができるようになる」と言います。
➀→業績をもたらす要因についての分析、利益と資源についての分析
➁→コストセンターとコスト構造についての分析
➂→マーケティング分析
➃→知識分析

 重要なのは、➀➁の診断の後、➂➃の分析で点検することです。たとえば堂々たる主力商品が、実はすでにライフサイクルの末期にあることが判明することもあります。暫定診断の際は、次の点に留意してください。
 第一に、分析の技術の完璧さを求めないことです。残念ながら精緻さを求めれば求めるほど、有用性が低くなる傾向にあります。大切なのは数字そのものでなく、現場で起きていることをイメージできることです。ドラッカー教授は、「複雑で神秘的な手法は無知と傲慢さを隠す煙幕である」と表現しました。
 第二に、意見の対立や判断に関わる問題を明確にすることです。およそ経営に関する重要事項は、事業の集合ではなく、定性的なものや、それゆえ判断が分かれるものが多々あります。
たとえば、製品やサービスの「市場におけるリーダーシップ」や「将来見通し」は、その代表格です。現場担当者は将来見通しを意識しているのに、管理者はまだまだいけると考えているなど、判断に関わる意見の対立は重要な事実を代表しています。
 質問して決めつけないことが重要です。さもなければ間違った問題に対して意思決定を下しかねないからです。教授が言うように、正しい答えを求める姿勢を捨て、正しい問いを用いる努力をこの段階では心がけるべきです。
 質問の対立は、見ている視点の違いでもあります。対立している事実こそが重要な情報であり、そのままトップマネジメントに上げるべきものです。
そしてトップマネジメントは、ありのままの事実をもとに事業の将来を判断します。事実そのものの適否を判断することが重要なのではありません。

 この本は、ドラッカー教授の教えの極意がわかる実践するドラッカーシリーズとして「思考編」「行動編」「チーム編」「事業編」があります。今回は、P160「四つの分析で事業を理解する」をとりあげました。会計専門家として分析し答えをだすまでのことに注力し、それをもとに戦略KPIを考えることが習慣になっていました。この本にある➂マーケティング➃知識分析をすることなく、答えを出していたのです。「正しい答えを求める姿勢を捨て、正しい問いを用いる努力をこの段階では心がけるべきです」という「真」の意味が分かりました。もっと、ドラッカーを勉強します。