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『ミッションからはじめよう!』著者 フィールドマネージメント 代表取締役 並木 祐太

出版 株式会社ディスカバー・トウエンティワン 2012年3月25日第1刷 2012年4月15日第2刷

はじめに P4
 実際のところ巷にあふれている、いわゆる「問題解決本」に書いてあることは、問題解決のプロセスの一部にすぎません。
 そういう本を買ってはみたけれど、結局、使えない。プレゼンまでは上手にできたけれど、そこでおしまい。実際には、問題は未解決のまま……そういう経験をなさっている方も少なくないはずです。なぜなら、実際のビジネスの場面で大事なことは、分析することでも整理することでもなく、「実行」することだからです。

 問題を分析し、素晴らしい戦略を考えることは、手段と訓練と一定の水準以上の思考力さえあれば、誰にでもできます。けれども、その戦略を採用すると決断するのは、その結果に責任を持てる人だけです。
 そして、それを実行するには、強い意志と、周りの人を巻き込む力、徹底する力が必要です。新しい戦略には、必ず抵抗が起こるからです。
 なんであれ、人は新しいことを恐れます。面倒がります。それまでやってきた慣れた方法に戻りたがります。それが、自分たちの既得権を脅かすものであればなおさら、そもそも変革とはつねに古いやり方・仕組みを捨てることなのですから当然です。

 実行のプロセスでは、すべてが実行し続けるための仕組みとスキルが必要です。
 もちろん、本書の中で述べています。けれども、それだけでは、おそらくうまくいきません。
 何よりも大切なのが、本書のタイトルでもある「ミッション」です。
 実行の過程で思わぬ今案があったとしても、変わらぬモチベーションを持ち続けるさけの「ミッション」。なぜ、それを実行するのかというそもそもの志、使命です。

 では、そのミッションと、ただの願望、根拠のない夢、額縁の中に入った「理念」とはどこが違うのか?
 この本の中では、ミッションのつくり方についても、丁寧に、しつこいくらい繰り返し取り上げていくつもりです。ミッションづくりにも、先人の知恵の詰まった「フレームワーク」があるのです。
 それは、企業全体のミッションづくりから、プロジェクト単位、そして、個人のキャリアプランにも使えるフレームワークです。

 利益なくして組織の存在はありえません。利益の源泉は顧客です。したがって、顧客の存在なくして組織の存在はありえません。「事業の目的は顧客の創造である」とドラッカー教授が述べた理由でもあります。という言葉を深耕し「実行」をテーマに、以前読んだ本を読み直しています。

ドラッカーの本『5つの質問』によれば、経営理念、ミッション、ビジョンは以下のように定義されます(引用)。
・経営理念とは「わが社の社会に対する根本的な考え」を言い表したもの
・ミッション(使命)は「わが社が社会で実現したいこと」を言い表したもの
・ビジョンは「わが社のミッションが実現したときの状態」を言い表したもの
「経営理念は想い、ミッションとは行動、ビジョンとは結果のこと」

 以前紹介した『経営は実行』の本から、「実行のため最も重要なのはリーダーが自分の組織に情熱を持って深くかかわることであり、他社や自社の現実に正直であることだ」という文を紹介しました。ミッションからはじめ、事業領域を見直し(再定義)、そして組織への情熱と適切な現状認識を忘れず「実行」。
コロナで業績が低迷している…という言い訳から脱却するため元マッキンゼー最年少役員が書いた『ミッションからはじめよう!』、お薦めします。