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「戦略参謀の仕事」稲田 将人 著

ダイヤモンド社発行 2018年2月15日第1刷発行

(P338 「PDCAが廻っていない」はマネジメントができていないのと同じ)
 「うちの会社はPDCAが廻っていないので……」
こう言われる社長や企業の完備は実に多いものです。
 実際、PDCAが重要であること自体は理解しているものの、日々の売上づくり等に意識が向き、社内のPDCAが精度高く廻る体制づくりへの取り組みは、残念ながら二の次、三の次になっているようです。
 前述のPDCAが昨日していない例を、もう少し詳細に解説します。
◎「丸投げPDCA」
マネジメント、マネジャーがPDCAを「掛け声」として唱えるものの、あとは現場や担当者に丸投げして。「やっといてね」「どうだった?」だけの状態。
言い換えると、マネジメント、マネジャーが自分たちは「やっとけ」と言えばいい特権階級であると勘違いしている状態。これは、正しいPDCAを徹底していて、すでに組織の能力が高い状態の場合のみ成り立つこと。
そもそも新しいプロジェクトというものは、上長が、健全に機能しているかをしっかりとみて、必要な指示や手助けをすることで、更に磨かれて成功確率が上がっていくもの。それが正しいPDCAの姿だということを、これっぽっちも理解していない困った状態。
◎「どんぶりPDCA」
PとCの精度が低いままに、ただ、PDCAを廻しているつもりになっている状態。例えば、ある商品カテゴリーの売上が悪かった場合に、その仕入れ担当バイヤーを「あいつの仕入れの腕は良くない」とただやみくもに配置転換をしてしまうケース。(以下略)
◎「なーんちゃってPDCA」
フレームワークなども使い、体制を整えて一見「らしく」つくられた、見栄えのする報告資料が大量に積み上げられる。見せたい部分だけをアピールする「自慢合戦」と化した御前会議で発表され、もっとも重要な「読み違い」からの学びには、ほとんど触れられない、形骸化しているPDCA。(以下略)
◎「我流PDCA」
PDCA自体が、なまじわかりやすい概念であるために起きる、自己解釈、我流のPDCAが行われている状態。仕事のできる人の説くPDCAには、確かに有効なノウハウ、というよりはテクニックが編み出されて含まれているものである。(以下略)

 前回と同じく、元マッキンゼーのコンサルが書いた本です。著者が経営改革に携わった主な企業は、日本コカ・コーラ、三城、ワールドなどの大企業や中堅中小企業です。その戦略参謀として組織でPDCAが廻っていない事例をもとに述べています。この本を読んで、小規模企業がPDCAを廻す基本は、会議や打ち合わせが基本で、これまで「成り行き学習」だったことを改め、「継続学習」に変えることが大切と改めてわかりました。戦略ナビはそれを実行するためのツールです。