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「最強の世界史」神野 正史 著

PHP文庫 2018年10月15日 第1版 第1刷

(P138)
戦略と戦術の混同
 戦略と戦術は全く似て非なるもので、これを明確にした上で努力しなければ努力が分散されてしまい、目的を達成することは叶いません。
 しかし、この「戦略と戦術」はあまりよく理解されていません。
 簡単に解説すればこうなります。
 【戦略】最終目的を達成するための大まかな計画方針
 【作戦】戦略を成功に導くための個別的・具体的計画
 【戦術】作戦を成功に導くための現場での手段・方術
 これを会社経営で喩えると
 【戦略】幹部会議で経営方針が決められ
 【作戦】その経営方針に基づいて、プロジェクトが立ち上げられ
 【戦術】プロジェクトを達成するために現場が臨機応変に対応する
といった感じになります。
 先の受験生の例に当てはめると、「模試ではいつも高得点(戦術の勝利)だったけど本番で落ちた(戦略の失敗)」とうイメージです。
 戦術でどれだけ勝利を重ねようとも、戦略で失敗したのでは何の意味もありません。逆にどれだけ失敗を重ねようとも、最終的に戦略を損なうことがなければ問題ありません。つまり、事において、常に「戦略」を見据えながら、「戦術」を行使していかなければ、「成功」は覚束ないのです。本章では、そうした戦略と戦術の成功例と失敗例を紐解いていくことにいたします。

 本では、分裂状態のドイツを統一国家に導いたビスマルクのことが書いてありますが、私は上記の1ぺージから戦略と戦術の間にある作戦は「重要成功要因」であり、会社経営に喩えた説明から、戦略にもとづく戦術を実行するための「仕組み」が必要であることを学びました。バランススコアカード(BSC)で戦略マップができ、戦術に相当する「KPI」、遅行指標(結果指標)と先行指標(行動を管理する進捗指標)が適切に設定されたとしても、プロジェクトが立ち上げられ、現場が行動しなければ、戦術は実行されない、結果として戦略目標は実現できないことになります。戦略マップを作ってPDCAをまわすこと(モニタリング)を実行すれば目標の達成度は上がるのですが、戦略と戦術の間には作戦=プロジェクトが必要です。