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「バランスト・スコアカード実践ワークブック」中野 明 著

秀和システム発行 2019年4月15日第1版第1刷発行

(P8)
バランスト・スコアカードの基本的な意味
□短期指標編重からの脱却
 バランスト・スコアカード(BSC)は、ハーバード・ビジネス・スクール教授ロバート・S・キャプランとコンサルティング会社社長デビッド・P・ノートンが、1990年に研究プロジェクトの報告書としてとりまとめたものに端を発します。
 従来の企業の指標は、どちらかというと短期的な財務の視点に偏りがちでした。この点に着目したキャプランとノートンは、財務の視点に、非財務的な長期的視点として、顧客の視点、内部プロセスの視点、学習と成長の視点を加えました。そして、この4つの視点で組織の活動を総合的に評価しようとしました。これがバランスト・スコアカードの始まりです。つまり、バランスト・スコアカードは組織の評価をするシステムとしてそのスタートを切ったわけです。
□戦略と実行のギャップを是正
 バランスト・スコアカードには、財務、顧客、内部プロセス、学習と成長という4つの視点をトップダウンで考察するという特徴があります。高い財務成績を実現するためにはどの顧客に焦点を合わせ、その顧客を満足させるにはどの内部プロセスに焦点を合わせ、そのためには従業員にどのような学習をほどこすべきか、という具合です。
 つまり、組織の財務目標が、バランスト・スコアカードによってブレイクダウンされ、組織の末端の活動まで行きわたるような構造になっています。一方、従来の組織では、経営トップが高らかに経営戦略を宣言するものの、それが組織の隅々までには行きわたらないというジレンマがありました。これは組織の具体的活動が、その戦略とそぐわないという問題を引き起こします。

 これまで、バランス・スコアカードについての説明がわかりやすいので、2009年12月8日発行の「バランス・スコアカード実践ワークブック」を活用していました。同書籍はすでに発行されていないので、代わりの本を探していたら、この本がみつかりました。「バランスト・スコアカード」という名称に変わっています。最初は「バランス・スコアカード」で2001年に「戦略マップ」が発表されてから「バランスト・スコアカード」に名称が変わりました。経営支援業務に活用し、「現場」を知っている私には独自の理屈があるのですが(汗、基本的な仕組みを理解するための入門書としてこの本をおすすめします。