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『戦略マップ』ロバート・S・キャプラン/デビット・P・ノートン著 監訳櫻井道晴・伊藤和憲・長谷川憲一

ランダムハウス講談社2005年12月14日第1刷発行

(P13)はじめに
 バランス・スコアカード(BSC)を実行している経営者は直感的に、戦略にもとづいた測定システムが戦略をどのように伝達し実行すべきかという課題を解決できることを理解していた。BSCを用いている経営者を観察すれば、彼らが戦略を管理するための新たなシステムを構築していることがわかる。
(6行略)
 
 さらに次の4年間、これらのBSC採用企業の業績と、我々がBSC導入を支援した企業及び独力でBSCを導入した企業の業績を追跡した。ここから、これらの企業は、比較的短期間……BSCプロジェクトとその組織変革を始めて2、3年……で飛躍的なパフォーマンスの改善を達成したことがわかった。驚くべき変革をなし遂げた経営者にBSCの役割について尋ねたとき、BSCは2つの単語、すなわち戦略への方向付け(alignment)と集中(focus)にあると彼らはおしなべて答えた。戦略実行に高度に集中するために、組織資源、すなわちエグゼクティブ・チーム、ビジネス・ユニット、支援グループ、IT、雇用と訓練のすべてを戦略に方向づけることをBSCは可能にしてきた。
(5行略)

 この著書では、BSCに成功した企業が「戦略志向」になるために次の5つのマネジメント原則にどのように従っているかを示した。
・戦略を現場の言葉に落とし込むこと
・企業を戦略に方向づけること
・戦略をすべての人の毎日の仕事にすること
・戦略を継続的プロセスにすること
・経営幹部がリーダとなって変革を活性化すること

 われわれは戦略志向になるためのマネジメント原則について学んだだけでなく、経営幹部と従業員にとって非常に重要な測定の仕方についても学ぶことができた。

 この本を監訳された櫻井先生からサインをいただいたのが平成19年10月30日。5つのマネジメント原則が仕組みになっているBSCは中小企業経営に役立つと考え、BSCを追い続けてきました。戦略への方向付けをするツール「戦略ナビcloud」は、京都大学上級経営会計専門家(EMBA)プログラムで、9月の講義(コンサルティングと会計)に使い、完成度が高い仕組みという評価をいただきました。
 集中は実行。なぜ普及がすすまないのか、『戦略マップ』を読み直し、5つのマネジメント原則の実行を習慣にできない「壁」が最大の要因と改めてわかりました。これまでの延長では事業を継続できない、会計事務所として新たな事業領域を創り事業承継を進めたいと考え取り組んで来ました。戦略ナビ導入の効果は導入事例で証明できました。「戦略への方向づけと集中」が持続力を維持する「鍵」です。