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事業承継計画と株式対策 – 3(2018.5.29)

事業承継計画と株式対策 – 3

最近、「奇跡のスーパーマーケット」*1 という本が話題になっています。

「会社は誰のためにあるのか?答えはここにある!」全米が注目!従業員、取引
先、顧客が団結して地域社会を救った奇跡の実話です。マーケット・バスケット
という会社の「従業員・顧客の連合軍」と「株主」の戦いで、地域を巻き込み従
業員・顧客の連合軍が勝利したことが書いてあります。

テーマは“小規模企業の経営戦略”。ここで、事業承継のための株式対策に戻
るのですが、納税猶予と種類株式を駆使して税負担を全くすることなく後継者に
経営権をバトンタッチすることはできます。

しかし、それで事業の継続と雇用の維持は確保されるでしょうか?

前置きが長くなりましたが、その対策として「従業員持ち株会」をおすすめしま
す。

株式の売り買いということで考えれば、従業員持ち株会は、株式上場がされてい
ることが前提のように考えられますが、非上場会社でもメリットがあります。
特に「株価評価が高く、後継者問題を抱えている」という小規模企業には活用を
検討する価値があります。

株価評価が高い=オーナーの相続税対策として従業員持ち株会は大きなメリット
があると言われていますが、事業承継対策の視点から見直してみませんか?

導入には、メリットもデメリットもあります。「会社は誰のためにあるのか?」を
前提に従業員持ち株会の役割をどのように位置付けるのか、その基本になることを
次回以降で考えます。

*1 「奇跡のスーパーマーケット」2017年11月7日第1刷発行
集英社インターナショナル

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事業承継計画と株式対策 – 2(2018.5.22)

事業承継計画と株式対策 – 2

前号に続き事業承継計画と株式対策について考えていきます。

株式を譲渡制限としていた場合であっても、相続や合併は、一般承継であるため、
株式の移転を制限できませんでしたが、会社法が改正され相続や合併などにより、
譲渡制限株式を包括承継した者に、その株式を売り渡すことを請求する旨を定款
に定める(会社法174条)ことができるようになりました。

この制度を利用すれば、会社にとって好ましくない者が、株式を相続したとき
は、会社が売渡請求を行い、排除することができます。

ただし、売渡請求をするためには、以下の要件が必要となります。

1.自己株式の取得ですので、株主総会の特別決議が必要となります。
2.譲渡制限株式でなければなりません。
3.相続があったことを知った日から、1年以内に請求権を行使しなければなら
なりません。
4.自社株の買い取りなので財源規制を満たさなければなりません。分配可能利
益の範囲内の金額でしか買い取り請求ができません。

自社株の評価額を確認するとともに、現状の持ち株関係を図解整理し、経営上の
将来リスクについても対策を考えましょう。

詳細については、顧問税理士等にお尋ねください。

先日、「株価評価が高いので、後継者へ株式を贈与するため納税猶予制度を活
用したいと考えているが、今後の会社経営を考えた場合幹部や社員のこともあり、
もっと別な方策はないものか?」という相談がありました。

会社法では、株主に、「特別の権利を与える株式」や「権利を制限する株式」な
ど、通常と異なる種類の株式の発行を認め、法定しています(会社法108条 異な
る種類の株式⇒種類株式と言われています)。

種類株式は、資金調達や敵対買収からの防衛、円滑な事業承継等を目的として株
主平等の原則の例外として認められたものであり、会社法で規定された種類株式
以外発行することができず、発行したとしても無効になります(詳細については
会社法をご確認ください)。

納税猶予と種類株式を活用することにより、後継者に経営権を集中することが可
能になりますが「今後の会社経営を考えた場合幹部や社員のこともあり…」とい
う疑問の回答にはつながりません。

次号も引き続き事業承継計画と株式対策について考えていきます。
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事業承継計画と株式対策 – 1(2018.5.14)

事業承継計画と株式対策 – 1

今回から事業承継計画と株式対策について考えます。

親族内承継に限らず、納税猶予制度を活用することにより贈与税を負担するこ
となしに後継者へ株式を移転することができることになりました。

経営者が株式の3分の2以上を保有している場合は比較的問題がないと言えるの
ですが、株式が分散している場合があります。代表的なのが、過去に役員だった
親族外の者が株式を保有し、相続により会社と関係のない人が株主になっている
というケースです。

会社法を活用すると、次のような方策を用いて、後継者へ株式を集中させるとと
もに、分散を防止することができます。

1. 分散した株式の買い取り:経営者・後継者個人による買取りのほか、会社に
よる自社株式の取得(金庫株)も可能

2. 株式譲渡制限条項の設置:会社にとって好ましくない者への株式の譲渡(売
却)を制限することが可能

3. 相続人に対する売渡請求条項の設置:株式を相続したものが会社にとって好
ましくない場合、会社が株式の売渡請求を行うことが可能

上記2の株式譲渡制限条項(会社法2条第17号)については、ほとんどの会社が
設置しています。ここで問題になるのが、譲渡制限株式の株主に相続が発生した
場合における、その株式の発行会社の承認です。

相続による株主の変更(相続人への株式の移転)は、“譲渡”による株式の移転
ではありません。相続財産である株式は、相続により当然相続人に承継される
(民法896条)ことから、会社の承認は必要ありません。

相続財産である株式は、相続人が数人いる場合には、いったん相続人の共有にな
り(民法898条)、その後の遺産分割によって、個々の財産の帰属が決まり、株
式を相続した相続人が株主となります。非上場株式なのに、株主名簿に会ったこ
ともない株主の名前が載ることになってしまいます。

次号も引き続き事業承継計画と株式対策について考えていきます。
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